コア部隊

陸上自衛隊におけるコア部隊

陸上自衛隊のコア部隊とは、平時においては指揮官や幕僚機能といった最小限の組織で運用され、有事の際には即応予備自衛官などを中心に部隊を構成する部隊のことです。コア部隊は、かつては新隊員教育を担う教育隊として各部隊に編成されていましたが、現在では即応予備自衛官を主体とする部隊を指すことが一般的です。

コア部隊の変遷

初期のコア部隊

陸上自衛隊発足初期、普通科連隊は3個大隊を基幹として編成されていました。その後、1個連隊を4個の普通科中隊と1個の重迫撃砲中隊で構成する改編が行われました。この際、人員充足率が低下したため、1個中隊を教育を主体とする「コア化中隊」とし、その人員を他の3個中隊に配置することで部隊運用のバランスを保っていました。

1980年代後半からのバブル景気により新隊員が激減した際には、大規模なコア化改編が行われました。多くの部隊で第4中隊（特科連隊では第4大隊など末番の部隊）を教育中隊に特化させ、各部隊の充足を図りました。

2000年代に入り、不況の影響で自衛隊志願者が増加すると、今度は既存の中隊では受け入れが困難になりました。そのため、コア化部隊は順次整理されていきました。

即応予備自衛官によるコア部隊

有事の際に招集される即応予備自衛官を配置する部隊として、師団・旅団隷下の普通科連隊の一部がコア化されました。これらの部隊は、現役隊員と即応予備自衛官が協同して第一線の任務に就くことを目的としています。

以前は、新入隊員の教育や予備自衛官補の教育などを担当していた教育団や教育連隊が方面混成団に改編された際、師団・旅団のコア普通科連隊がこの隷下に入り、運用面での効率化が図られました。

即応予備自衛官の定員は、平成16年度には9,000名、平成17年度には15,000名に拡充されましたが、平成18年度には7,000名に削減されました。さらに、平成29年度末までに、6個師団と3個旅団隷下のコア部隊が廃止されています。

コア部隊の現状

連隊規模のコア部隊

連隊全体がコア部隊として運用されている部隊としては、以下のものがあります。

第52普通科連隊：北部方面混成団隷下
第38普通科連隊：東北方面混成団隷下
第31普通科[[連隊]]：東部方面混成団隷下
第48普通科連隊：東部方面混成団隷下
第49普通科連隊：中部方面混成団隷下
第47普通科連隊：中部方面混成団隷下
第19普通科[[連隊]]：西部方面混成団隷下
第24普通科[[連隊]]：西部方面混成団隷下

過去にコア連隊として運用されていた部隊には、以下のものがあります。

第73戦車[[連隊]]：第7師団隷下 (2000年3月～2014年3月)
第4普通科[[連隊]]：第5旅団隷下 (2004年3月～2011年4月)

大・中隊規模のコア部隊

上記以外にも、特科連隊の中隊や施設大隊・中隊、偵察隊、後方支援連隊・隊などにもコア化された部隊が存在していましたが、師団・旅団隷下のコア連隊が方面混成団隷下に移行するのと同時期に廃止されています。

2017年3月以降、方面後方支援隊隷下に編成されている補給大隊と弾薬大隊（中隊）はコア部隊です。

補給大隊
第101補給大隊（桂駐屯地）
第102補給大隊（仙台駐屯地）
第103補給大隊（霞ヶ浦駐屯地）
第104補給大隊（島松駐屯地）
第105補給大隊（目達原駐屯地）
弾薬大隊
第101弾薬大隊（大分分屯地）
第102弾薬大隊（北千歳駐屯地）
第103弾薬大隊（目達原駐屯地）
弾薬中隊
第301弾薬中隊（仙台駐屯地）
第302弾薬中隊（霞ケ浦駐屯地）
第303弾薬中隊（祝園分屯地）

小隊規模のコア部隊

施設小隊にもコア化された部隊が存在していました。

第301施設小隊
第302施設小隊

これらの施設小隊は、2017年3月27日に廃止されています。

まとめ

陸上自衛隊のコア部隊は、時代の変化とともにその役割や編成を変えてきました。かつては教育訓練を主体とする部隊でしたが、現在は即応予備自衛官を主体とする部隊として、有事の際に重要な役割を担っています。コア部隊の編成は、常に変化しており、今後もその動向を注視していく必要があります。

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