コッベン級潜水艦

コッベン級潜水艦：ノルウェー海軍の沿岸防衛を担った潜水艦

コッベン級潜水艦は、ノルウェー海軍が1960年代から2000年代初頭にかけて運用した哨戒潜水艦です。西ドイツ（当時）の205型潜水艦をベースに、沿岸作戦に特化した設計がなされており、ノルウェーの地形に合った運用が可能なように小型化されています。ドイツの造船所ノルトゼーヴェルケで建造された本級は、ノルウェー海軍の潜水艦戦力の中核を担いました。

開発と導入の経緯

第二次世界大戦後、ノルウェー海軍は艦隊の近代化を計画しました。その中で、潜水艦隊は外洋での活動よりも、自国の複雑な沿岸部での作戦に適した潜水艦を求めていました。大型潜水艦が主流であった当時、ノルウェー海軍にとって小型で機動性の高い潜水艦が必要とされ、その要件を満たしたのが西ドイツの205型潜水艦でした。207型という名称で1964年から1967年にかけて15隻が調達され、ノルウェー海軍の潜水艦戦力を大幅に強化しました。

近代化改修と国外への譲渡

1980年代後半から1990年代にかけて、コッベン級の一部は延命と能力向上を目的とした近代化改修を受けました。これにより、センサーやソナーなどの装備が更新され、作戦能力が向上しました。しかし、老朽化が進んでいたことから、一部は退役することになり、4隻がデンマーク海軍に売却され、「トゥームレン級」として再就役しました。さらに、2001年にはノルウェー海軍での運用を終え、後継のウーラ級潜水艦にその役目を引き継ぎました。

退役したコッベン級のうち、5隻はポーランド海軍に譲渡され、4隻が再就役を果たしました。譲渡にあたっては、ポーランド海軍の乗員がノルウェー海軍で訓練を受け、艦自体もオーバーホールされるなど、万全の状態で引き渡されました。これにより、ポーランド海軍の潜水艦戦力の強化に貢献しました。

その後

デンマーク海軍に譲渡されたトゥームレン級も、2004年までに全艦が退役しました。退役後、モスボール保管されていましたが、その後の処遇は決定されておらず、解体または他国への売却が検討されました。

主要目

排水量：水上435トン、水中474トン
全長：47.2メートル
全幅：4.7メートル
速力：水上10ノット、水中17ノット
乗員：21名
兵装：533mm魚雷発射管8門

コッベン級潜水艦は、ノルウェー海軍の沿岸防衛において重要な役割を果たし、その退役後も他国で再利用されるなど、その価値を長く維持しました。小型ながらも高い能力を持つ本級は、潜水艦の設計思想に影響を与えた艦として、その名を歴史に刻んでいます。

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