コニー・360コーチ

コニー・360コーチについての詳細

コニー・360コーチは、愛知機械工業が製造した軽商用車で、1961年から1965年の間に生産されました。この車両は、形式名がAF6型であり、ヂャイアント・コニー360（AF3型）やコニー・360（AF7型）とともに生産されました。驚くことに、現存するコニー・360コーチはほとんど見られない状況です。

厳しい市場への参入

愛知機械工業がこの車両を市場に出す前に、1961年10月に開催された第8回全日本自動車ショウで、2ドアノッチバックセダン型の軽乗用車「コニー・360コーチ」の参考出品を行い、乗用車市場への進出を試みました。工業デザイナーの宮田脩平による優雅なデザインのもと、この車両はモノコック構造、リアエンジン構造、四輪独立懸架のサスペンションなど、さまざまな新しい技術を取り入れた意欲的な製品でした。しかし、オート三輪と軽商用車の製造の経験しかない同社にとって、乗用車市場は大きな挑戦であったと言えます。

ライトバン型の登場

その後、愛知機械工業は1962年3月にライトバン型の「コニー・360コーチV」を発売しました。このモデルは、セダンの機構をそのまま流用しつつも、積載性能や耐久性よりも快適性を重視したステーションワゴン的な位置付けとして設計されました。フロントシートはセパレート式で、バックレストの角度調整が可能であったことや、リアエンジンにも関わらずコラムシフトを採用している点が特徴的でした。

乗用車版の不調

一方で、乗用車版は1962年10月の第9回全日本自動車ショウでも参考出品されながらも、結局生産には至りませんでした。その理由として、製造品質や設備投資の懸念があったとされています。実際、前年に発売したコニー・グッピーが予想外に不振で、愛知機械工業の決算は赤字だったため、その後も厳しい経営状況が続きました。日産自動車との提携も視野に入れざるを得ませんでした。

生産終了とその後

1965年9月には、コニー・360コーチは累計7,577台生産されるも生産中止となり、同年12月には販売終了となりました。その後、愛知機械工業はリアエンジン方式や前輪駆動方式の乗用車を試作しましたが、最終的には市場に投入されることはありませんでした。

愛知機械工業は乗用車市場への進出を断念し、日産自動車グループの一員となる道を選びました。1962年11月には技術提携を結び、1965年3月には業務提携に進展し、その後自社ブランドでの自動車生産からは撤退することになります。こうした経緯から、コニー・360コーチは、軽商用車として多くの試行錯誤の末に生まれた歴史を持つモデルであることがわかります。

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