コマンダン・リヴィエル級フリゲート

コマンダン・リヴィエル級フリゲート：植民地警備から冷戦任務まで

コマンダン・リヴィエル級フリゲートは、フランス海軍が運用したフリゲート艦級です。その歴史は、フランス海軍が戦前から整備してきた通報艦に遡ります。当初、通報艦は植民地への情報伝達や沿岸警備を主任務としていましたが、無線通信技術の発展に伴い、警備・救難任務が中心となりました。第二次世界大戦後もこれらの任務は重要性を維持していましたが、冷戦の開始とNATO加盟を受け、フランス海軍は船団護衛能力を持つ艦艇の必要性に迫られました。

この要請に応えるべく、通報艦と護衛駆逐艦の任務を両立できる艦としてコマンダン・リヴィエル級が誕生しました。当初は「フランス連合護衛艦」と呼ばれ、1959年に「護衛通報艦」に改称されました。本級は、先行する高速護衛艦であるル・ノルマン級を拡大した設計となっており、中央船楼型船体と全艦空調を備えていました。推進方式はCODAD方式（ディーゼル機関による推進）で、4基のSEMTピルスティク12PC2型中速ディーゼルエンジンによって2軸を駆動していました。「バルニー」はフランス海軍初のCODAG艦（ディーゼル機関とガスタービン機関の複合推進方式）として建造され、AGO V-16型ディーゼルエンジンとチュルボメカM38型ガスタービンエンジンを搭載していました。

コマンダン・リヴィエル級のセンサー類は、ル・ノルマン級と共通する部分が多くありました。対空レーダーには、AN/SPS-6|AN_SPS-6をベースに開発されたDRBV-22Aが搭載され、最大探知距離は130kmに達しました。兵装面では、ル・ノルマン級のM/50 375mm対潜ロケット砲を、より簡便な305mm 4連装対潜迫撃砲に置き換えた点が特徴的です。また、新型のMle.53 100mm単装速射砲も搭載されました。1970年代半ばには改装が行われ、西側第1世代の艦対艦ミサイルであるエグゾセMM38が追加装備され、対水上攻撃能力が大幅に向上しました。

ネームシップは1955年に発注され、その後1956年と1957年に計8隻が発注されました。これらの艦艇は1962年から就役を開始しました。同様の艦艇の必要性から、ポルトガル海軍も本級の準同型艦を発注し、1967年からジョアン・ベーロ級フリゲートとして就役しました。ポルトガル海軍はその後、運用コスト削減のため、小型化されたジョアン・コーチニョ級コルベットを整備し始めましたが、このコンセプトはフランス海軍にもフィードバックされ、デスティエンヌ・ドルヴ級通報艦へと繋がっていきました。コマンダン・リヴィエル級は1990年代後半までに退役しましたが、そのうち3隻はウルグアイ海軍に売却され、再就役しました。2000年代には、ウルグアイ海軍はさらにジョアン・ベーロ級2隻を購入し、コマンダン・リヴィエル級の一部艦艇の代替として運用しています。

コマンダン・リヴィエル級フリゲートは、フランス海軍の艦艇技術と運用思想の変遷を象徴する艦級であり、冷戦時代の海軍力維持に重要な役割を果たしました。その後のポルトガル、ウルグアイへの輸出は、その艦艇としての高い評価を示しています。本級の設計思想や運用経験は、後続のフランス海軍艦艇にも継承され、今日のフランス海軍の基礎を築く上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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