コミスジ

コミスジ（小三條）

コミスジ（学名: Neptis sappho）は、タテハ[[チョウ科]]に分類されるチョウの一種です。その独特な翅の模様と飛び方で知られています。

分布

コミスジは、シベリアの亜寒帯地域から中央アジア、インドシナ半島、台湾の熱帯地域に至るまで、アジア広域に分布しています。日本では、北海道から屋久島、種子島まで生息していますが、トカラ列島以南の南西諸島には分布していません。日本に生息するコミスジは亜種 N. s. intermedia として分類され、この亜種は近隣の東アジア地域にも分布しています。

特徴

成虫の前翅長は23-31mmで、翅は横長の黒褐色をしています。前翅には1本、後翅には2本の白い帯が斜めに走り、翅を開くとこれらの帯が「三」の字に見えます。また、前翅のやや外側には横長の白い斑紋が並んでいます。翅の裏側も同様の模様ですが、地色は明るい茶色です。体には緑色の毛が生えています。

生態

成虫は4月から11月にかけて見られ、その間に1-4回発生します。主に低地や丘陵地の森林周辺に生息し、郊外の住宅地でも見かけることができます。しかし、遮蔽物がないためか山頂にはあまりおらず、山麓に多く見られるチョウと言えるでしょう。

飛び方は特徴的で、パタパタと数回羽ばたいた後、数秒間翅を水平に開いて滑空します。その様子は、白黒に色分けされた紙切れが風に舞っているようにも見えます。樹液にはあまり集まらず、花や水場に来ることがありますが、アゲハチョウ類のような大規模な吸水集団を形成することはありません。

幼虫はクズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどのマメ科植物を食草とします。冬は3齢幼虫で越冬します。

近縁種

タテハ[[チョウ科]]の中では、イチモンジチョウ亜科は翅裏に枯れ葉のような模様がなく、睡眠や交尾時以外は翅を開いていることが多いのが特徴です。翅の表と裏で模様に差異がない点や、斑紋が体に対して垂直に走る点はマダラチョウ科に似ています。

ミスジチョウ属には、ミスジチョウ、ホシミスジ、オオミスジなど模様が似た種が多くいますが、コミスジとリュウキュウミスジは、前翅の帯模様が途中で明確に分断される点で区別できます。また、コミスジの翅裏の「三」の字模様の中央には縁取りがありませんが、リュウキュウミスジには細い黒線による縁取りがあります。名前の由来は、ミスジチョウに似ており、より小型であることから「小三條」と名付けられました。

参考文献

朝比奈正二郎監修「野外観察図鑑1 昆虫」旺文社
伊藤修四郎他監修「学生版 日本昆虫図鑑」北隆館
猪又敏男(編・解説)、松本克臣(写真)『蝶』山と溪谷社
福田晴夫他「昆虫の図鑑 採集と標本の作り方 -野山の宝石たち-」南方新社
牧林功解説 『日本の蝶』成美堂出版
日本環境動物昆虫学会編『チョウの調べ方』文教出版

外部リンク

* Lepidoptera and some other life forms (英語)

もう一度検索