コラ・ブルニョン (オペラ)

コラ・ブルニョン

ドミトリー・カバレフスキー（1904-1987）が作曲したオペラ『コラ・ブルニョン』作品24は、フランスのノーベル文学賞作家ロマン・ロランの同名長編小説を原作とする3幕の作品です。ロシア語の原題は「Кола́ Брюньо́н」と表記されます。物語の舞台は16世紀から17世紀にかけてのフランス、ブルゴーニュ地方。陽気で腕の良い彫刻家コラ・ブルニョンが主人公であり、彼の人生における苦難や喜び、そして宿敵である悪事を働くジフリャールとの間の複雑な人間関係や愛憎劇が描かれます。

作曲と上演の歴史

このオペラは1936年から1937年にかけて作曲されました。台本は作曲家自身とV・ブラーギンが共同で執筆しています。初演は作曲の翌年、1938年にレニングラード（現サンクトペテルブルク）のマールイ劇場にて、指揮者ボリス・ハイキンによって行われましたが、この時は『クラムシの親方』という別のタイトルで上演されました。その後、カバレフスキーは作品に改訂を加え、1968年に原作と同じ『コラ・ブルニョン』へと改題しました。改訂版の初演は1970年4月16日、同じくレニングラードで行われています。

組曲版

オペラの成功を受けて、主要な音楽を抜粋・編曲したオーケストラのための組曲も制作されました。この組曲は演奏機会が多く、特に冒頭の「序曲」は、管弦楽のみならず吹奏楽版も広く普及しており、単独の演奏会で取り上げられることも少なくありません。

楽器編成

この作品で使用されるオーケストラの編成は以下の通りです。

木管楽器：フルート3（うち1人はピッコロ持ち替え）、ピッコロ1、クラリネット3、ファゴット3（うち1人はコントラファゴット持ち替え）
金管楽器：ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1
打楽器：ティンパニ、小太鼓、トライアングル2、タンブリン、シンバル3、大太鼓、木琴、タムタム
その他：ハープ1
* 弦楽器：弦五部（第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）

組曲の楽曲構成

組曲は通常、以下の4つの楽章で構成されます。

1. 序曲（Allegro - Presto）
力強く開始されるAllegroの導入部を経て、速いテンポのPresto主部に入ります。木管楽器による軽快なシンコペーションを伴う主題が登場し、弦楽器へと受け継がれながら展開されます。途中で新しい主題が提示され、様々な楽器が受け渡します。一度テンポが落ち着き、歌謡的な第3主題が現れた後、導入部の主題が回帰。変形された主題とクラリネットの二重奏を経て、クライマックスに至り、シンバルとティンパニのリズムで締めくくられます。

2. 民衆の祝賀（Allegro Marcato）
オペラの第1幕第2場、侯爵を祝う人々の陽気な祝祭を描いた曲です。トランペットの短いファンファーレの後、弦楽器のピッツィカートに乗って木管楽器がメヌエット風の優雅な主題を奏でます。展開部では、トランペットによる踊りの高揚を示す動機が加わり、これらの要素が組み合わされながらクライマックスへと向かい、賑やかに終わります。

3. 世の災禍（Largo）
オペラの第2幕第2場、ペストに倒れたコラの姿を描く緩徐楽章です。ペストの脅威を暗示する重苦しい主題で始まり、その上で木管や弦が悲痛な旋律を奏でます。絶望的な雰囲気の旋律が続き、弦楽器のトレモロを伴って管楽器が切ない響きを響かせます。

4. 反乱（Moderato marciale）
オペラの第3幕における、民衆による侯爵邸襲撃の場面を描写する行進曲風の楽章です。ティンパニと弦楽器のピッツィカートによる緊迫した開始に、ホルンとファゴットが加わります。オーボエがロシアの革命歌を思わせる力強い動機を提示し、激しいAllegro molto e con fuccoの音楽に転じて攻撃の様子が描かれます。新しい旋律が現れてさらに熱を帯び、打楽器と弦楽器が一体となってクライマックスを形成し、壮大に幕を閉じます。

これらの情報は、『最新名曲解説全集7 管弦楽曲IV』や『ロシア音楽事典』などを参考に記述されています。

もう一度検索