コリン (競走馬)

伝説の名馬コリン：15戦無敗の輝きと現代への遺産

コリン (1905-1932) は、アメリカ合衆国で活躍したサラブレッド競走馬にして、種牡馬です。2歳から3歳にかけての15戦全てで勝利を収めた、まさに無敗の伝説的名馬として知られています。その輝かしい功績から、1907年と1908年にはアメリカ年度代表馬に選出され、1956年にはアメリカ競馬の殿堂入りを果たしました。さらに、ブラッド・ホース誌による20世紀のアメリカ名馬100選では第15位にランクインするなど、現代においても高い評価を受けています。

キャッスルトンスタッドの奇跡：コリン誕生からデビューまで

コリンは、名オーナーブリーダーとして知られたジェームズ・ロバート・キーンが所有するケンタッキー州キャッスルトンスタッドで生まれました。その名は、桂冠詩人ニコラス・ロウの詩「Poor Colin」に由来しています。父はキーン所有のコマンドで、ジェームズ・ロウ調教師の管理下で育成されました。

コリンは、飛節軟腫により膝が腫れ上がっており、その容姿からキーンにはあまり期待されていませんでした。しかし、ロウ調教師はコリンの才能を見抜き、丹念なケアを続けました。マッサージや冷湿布を施し、輸送中も付き添うなど、献身的なサポートでコリンの競走生活を支えました。

1907年、ベルモントパーク競馬場でデビューしたコリンは、初戦から勝利を収めます。2歳時は、フェアプレイやケルト、キングジェームズといった強豪を次々と破り、フューチュリティステークス、サラトガスペシャル、メイトロンステークス、シャンペンステークスなど主要競走を制覇。12戦全勝という驚異的な成績で、2歳にして年度代表馬に選ばれました。これは、父コマンドも成し遂げた偉業であり、親子二代にわたる快挙となりました。

3歳時の挑戦と惜しまれる引退

2歳時の激闘により脚部への負担を懸念したロウ調教師は、コリンに約7ヶ月の休養を与えました。3歳シーズン、復帰戦のウィザーズステークスでは2馬身差で圧勝しますが、レース後の検査で跛行が見られました。

当時、アメリカ競馬は、スピード重視のクォーターホース競馬から、スタミナ重視のヨーロッパ式競馬への移行期にありました。ベルモントステークスやローレンスリアライゼーションステークスといった長距離競走での勝利こそが、真のサラブレッドの証とされていました。

ロウ調教師は、コリンの脚の状態を心配しながらも、ベルモントステークスへの出走を決めました。激しい接戦の末、フェアプレイをアタマ差で制し、続くタイダルステークスも勝利。3歳シーズンも3戦3勝と、その強さを証明しました。

しかし、イギリスへの移籍を控えた調教中に足を痛めてしまい、コリンは惜しまれつつも引退することになりました。15戦無敗という輝かしい記録は、その後80年間破られることはありませんでした。1908年には、最優秀3歳牡馬と年度代表馬の二冠に輝き、その偉業は後世に語り継がれることになります。

種牡馬としての活動と血統の継承

引退後はキーンの意向によりイギリスで種牡馬として供用されました。その後アメリカに帰郷し、27歳まで種牡馬として活動しましたが、受胎率の低さから、期待されたほどの成功は収めませんでした。

しかし、コリンの血統は脈々と受け継がれ、その産駒であるネッディーが後継種牡馬となり、父系は存続しました。その子孫には、プリークネスステークス優勝馬のアルサブや名種牡馬アックアックなどがおり、現代においてもその影響は色濃く残っています。特にドミノの父系は、現在ではコリンを通した系統のみが存続していることが注目されます。日本ではノボトゥルーが、コリンの父系を受け継ぐ唯一の種牡馬として活躍しています。

永遠の伝説：コリンの評価

コリンの偉大な功績は、1956年のアメリカ競馬名誉の殿堂博物館への殿堂入りという形で称えられました。また、1999年にはブラッド・ホース誌による20世紀のアメリカ名馬100選で第15位に選出されています。

15戦無敗という偉業、アメリカ競馬史に燦然と輝くその名は、永遠に語り継がれていくことでしょう。コリンの物語は、競走馬としての卓越した能力だけでなく、人々の努力と情熱、そして血統の力強い継承を物語る、感動的な歴史として残されています。

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