コロナド (ドック型輸送揚陸艦)

USSコロナド(LPD/AGF-11)の艦歴と役割

USSコロナド(LPD/AGF-11)は、アメリカ海軍のクリーブランド級ドック型揚陸艦の5番艦として建造され、その名はカリフォルニア州のコロナドに由来します。本艦は、その長い艦歴の中で、ドック型揚陸艦から指揮艦へと役割を変え、数々の作戦に参加しました。

起工から就役、そして大西洋艦隊での活動

コロナドは1965年5月1日にワシントン州シアトルで起工され、1966年7月1日に進水しました。しかし、作業員の不足とストライキにより建造が遅延し、1970年5月23日にようやく就役しました。就役後、コロナドは大西洋艦隊に配属され、北部ヨーロッパ、カリブ海、地中海など、広範囲にわたる海域で作戦に参加しました。1971年2月には、強襲揚陸艦ガダルカナルと共に、AV-8AハリアーV/STOL攻撃機の運用実験にも携わっています。

指揮艦としての転換と各地での展開

1980年、コロナドは[指揮艦]へと艦種変更され、ペルシャ湾に展開するアメリカ中央軍隷下の第5艦隊旗艦ラ・サールの後任を務めました。1985年10月には配置転換により、第6艦隊旗艦ピュージェット・サウンドの後任として、イタリアのガエッタを母港とし、シドラ湾でのリビアのテロリストに対する攻撃作戦にも参加しました。その後、1986年7月には第3艦隊旗艦となるためハワイの真珠湾へ移動し、1988年1月には再び第5艦隊の旗艦としてペルシア湾に展開しました。

技術実験の中心としての役割と退役

1991年8月、コロナドはカリフォルニア州サンディエゴを母港とし、第3艦隊と共に海軍の技術実験の中心となりました。1997年からは大規模な改修が行われ、艦内のウェルドックが廃止されました。この改修により、コロナドは最新式のネットワーク通信装備を搭載し、アメリカ海軍で最も先進的な指揮艦としての地位を確立しました。2004年には、指揮艦ブルー・リッジのドック入り中に、臨時に第7艦隊旗艦を代行する事態もありました。

しかし、2006年9月30日、コロナドは惜しまれつつ退役し、カリフォルニア州のサスーン湾にある予備役艦艇係留地で保管されることになりました。再就役や外国への譲渡の計画は立てられず、最終的には標的艦として海没処分となりました。

最期

コロナドは2012年9月12日、グアム島南方の海域で実弾演習の標的として沈没し、その長い歴史に幕を閉じました。

コロナドは、ドック型揚陸艦から指揮艦へと役割を変えながら、アメリカ海軍の作戦を支え、技術革新を推進した重要な艦艇でした。

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