シドラ湾

シドラ湾の概要

シドラ湾（Gulf of Sidra）は、リビアの北部に広がる地中海に面した湾です。この湾の名前は、湾の奥に位置する港町シドラ（Sidra）に由来しており、同町は石油の輸出拠点としても知られています。また、シドラ湾の沿岸には町シルテがあり、この地域はシルテ湾とも呼ばれることがあります。かつてシドラ湾は、古代には「大シルティス」（Syrtis Major）という名前で知られており、これはチュニジアに存在していた小シルティスと区別するために名付けられたものです。さらに、この湾は豊かな海洋資源を持ち、特にマグロが重要な漁業資源となっています。

領有権問題

リビアは、シドラ湾を全体として自身の領海と主張しており、具体的には北緯32度30分を湾口閉鎖線とし、さらにその周囲62海里を漁業専管水域としています。しかし、アメリカ合衆国はこのリビアの主張をサポートしておらず、国際法に従い、沿岸から12海里（約22.2km）を通常の領海と認識しています。このため、リビアとアメリカの間には領有権を巡る対立が生じています。

1973年、リビアの指導者であったムアンマル・アル＝カッザーフィーは、この閉鎖線を「死のライン（The Line of Death）」と名付け、自国の領海としての主張を強調しました。これに関連するとして、1981年には「シドラ湾事件」が発生し、アメリカ海軍のF-14戦闘機がリビアのSu-22戦闘機を撃墜する事態が起こりました。

1986年には、ドイツでのディスコ爆破事件への報復としてアメリカによるリビア爆撃が行われました。この際、シドラ湾で米空軍のF-111戦闘爆撃機が撃墜され、2名の乗員が亡くなる悲劇が起こりました。さらに、1989年にもシドラ湾でアメリカ海軍機に対して攻撃を行おうとしたリビアのMiG-23戦闘機が2機撃墜され、再びアメリカとリビアの間の緊張が高まりました。

これらの事件は、シドラ湾が単なる漁業の場を超えて、国際的な政治や軍事の舞台となっていることを示しています。シドラ湾の領有権を巡る争いは今なお解決されておらず、地域の安全保障や国際関係にも影響を及ぼしているのです。

関連項目

このように、シドラ湾に関する歴史的事件や軍事衝突は多岐にわたります。関連する出来事として、以下の項目が挙げられます。

• - 第2次シルテ湾海戦: 第二次世界大戦中、イタリア海軍とイギリス海軍の間で行われた重要な海戦。
• - シドラ湾事件 (1981年): アメリカ海軍とリビア空軍の衝突に関する事件。
• - シドラ湾事件 (1989年): 再びアメリカ海軍とリビア空軍の間で発生した交戦。
• - リビア爆撃 (1986年): アメリカ軍によるトリポリやベンガジへの空襲。

シドラ湾は、地理的な重要性に加えて、国際的な政治情勢を反映する場としても注目されています。

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