コロネーション (1838年生の競走馬)

コロネーション：ダービー馬の栄光とロシアへの旅

1838年生まれのサラブレッド競走馬、コロネーション。その名は、誕生年のヴィクトリア女王戴冠式に由来する。イギリスで生まれ、輝かしい競走馬生活を経て、種牡馬として活躍した後、ロシアへと渡ったその生涯を紐解いていこう。

華麗なる競走馬時代

コロネーションは、オックスフォードシャー州でエイブラハム・タイサック・ローリンソンによって生産され、ベン・ペインターによって調教された。力強い体躯、赤みがかった鹿毛の美しい馬体で知られ、当時の『ファーマーズ・マガジン』誌では「素晴らしい外観の動物」と評された。

2歳時の1840年夏には、2戦2勝という好成績でデビュー。その才能は早くから注目を集め、翌年のダービーへの期待も高まっていた。

3歳となった1841年は、ダービー制覇への道を歩む。トライアルステークスでの圧勝を経て、ダービーでは29頭もの強豪馬を相手に、5/2という人気を集めてレースに臨んだ。当日は晴天に恵まれ、大勢の観客が詰めかけたエプソム競馬場。数度の不正スタートの後、コロネーションは鞍上パトリック・コノリーと共に、落ち着いたペースでレースを進めた。そして直線で力強く抜け出し、2着馬に3馬身差をつけて優勝。歓喜に沸く観客を前に、コロネーションはダービーの栄冠を手にした。しかし、検量所での事故により、観客1名が死亡するという悲しい出来事も起こっている。

ダービー勝利後もその勢いは衰えず、アスコットダービーでは単走で勝利。さらにオックスフォードカップも制し、3歳シーズンは圧倒的な強さを見せつけた。

しかし、セントレジャーステークスでは、サティリストにクビ半分差で敗れ、無敗の記録は途絶えた。このレース後、コロネーションは引退し、種牡馬としてのキャリアをスタートさせた。

種牡馬としてのコロネーションとその後

種牡馬としては、1000ギニーステークス優勝馬ザフリーなど、いくつかの活躍馬を輩出したものの、ダービー馬としての輝かしい活躍と比べると、やや控えめな成績だったと言えるだろう。 イギリスで数年過ごした後、コロネーションはロシア帝国へと輸出された。その後の消息は、詳細には伝わっていない。

コロネーションの血統

コロネーションの父は、1829年のセントレジャーステークスで3着に入ったサーハーキュリーズ。数々の活躍馬を輩出した名種牡馬であり、その血統は現代のサラブレッドにも受け継がれている。

まとめ

コロネーションは、短いが華々しい競走馬生活を送った馬である。ダービー制覇という栄光を手にし、多くの観客を魅了したその走り、そして種牡馬としての貢献、そしてロシアへの旅路。その生涯は、まさに一時代のサラブレッドの物語と言えるだろう。 多くの謎が残る部分もあるが、その活躍はサラブレッドの歴史にしっかりと刻まれている。 今でも、ダービー優勝馬として、そして一時代を築いた名馬として語り継がれているのである。

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