コロラド級戦艦

コロラド級戦艦：アメリカ海軍最後の16インチ砲搭載戦艦

コロラド級戦艦（またはメリーランド級戦艦）は、アメリカ海軍が建造した超弩級戦艦の艦級です。ワシントン海軍軍縮条約前に計画された最後の標準型戦艦であり、アメリカ海軍の戦艦設計における一つの到達点を示しました。

概要

コロラド級は、前級のテネシー級戦艦をベースに、主砲を14インチ3連装砲から16インチ連装砲へと強化した改良型です。これは、日本海軍が長門型戦艦を、イギリス海軍がG3型巡洋戦艦やN3型戦艦を計画していたことに対応したものでした。

当初、アメリカ海軍は14インチ砲搭載の戦艦を計画していましたが、他国の動向から急遽16インチ砲の採用を決定します。これにより、テネシー級よりも強力な火力を持つ戦艦が誕生しました。しかし、装甲は35.6cm砲弾を想定したものであり、次世代のサウスダコタ級戦艦のような、16インチ砲弾に対応した防御力を持つ艦には及びませんでした。

それでも、コロラド級の防御力は、ニューメキシコ級以前のアメリカ標準型戦艦よりも優れており、テネシー級2隻と合わせて「ビッグ・ファイブ」と称されました。

コロラド級は4隻が計画されましたが、ワシントン海軍軍縮条約の影響で3番艦「ワシントン」は建造中止となりました。最終的に、「コロラド」「メリーランド」「ウェストバージニア」の3隻が竣工しました。2番艦「メリーランド」がネームシップよりも早く就役したため、メリーランド級と呼ばれることもあります。

艦形

コロラド級の船体形状は、前級に引き続き長船首楼型です。艦首にはクリッパー型艦首を採用し、艦首甲板には16インチ連装砲塔が2基、背負い式で配置されました。艦橋構造物は高く、籠状の前部マストが特徴的です。

船体中央部には2本の煙突があり、その周囲が艦載艇置き場となっていました。後部には籠状の後部マストと、3番・4番主砲塔が背負い式で配置されています。

副砲は12.7cm速射砲で、ケースメイト（砲郭）配置で片舷5基ずつ、上部構造物に2基ずつ計12基が搭載されました。

第二次世界大戦中には、改装が施され、艦橋構造の変更、レーダーの搭載、対空兵装の強化が行われました。特に「ウェストバージニア」は、真珠湾攻撃で大破着底した後に大幅な改装を受け、サウスダコタ級に似た外観となりました。

兵装

主砲

コロラド級の主砲は、新開発の16インチ（40.6cm）45口径砲です。1921年型 Mark 1砲は、約957kgの砲弾を最大射程31,360mまで飛ばすことができました。

第二次世界大戦時には、損傷修理時に新型のMark 5＆8 1938年型砲に更新され、射程と貫通力が向上しました。Mark 5＆8は、約1,016kgの砲弾を最大射程31,910mまで飛ばすことができました。

副砲、その他武装

副砲は、12.7cm（51口径）速射砲を採用。舷側ケースメイトに10基、甲板上に露天で4基搭載しました。対空火器としては、7.62cm高角砲が搭載されていました。

就役後、12.7cm高角砲は12.7cm25口径単装高角砲に換装されました。また、対空機銃として12.7mm単装機銃が搭載されました。

第二次世界大戦中の改装では、12.7cm連装両用砲、40mm4連装機関砲、20mm単装機関砲といった新型対空火器が搭載されました。

航空兵装としては、当初は艦載機を搭載していませんでしたが、後にカタパルトと水上機が搭載されました。

機関

コロラド級は、ターボ発電機推進を採用しました。これは、タービン機関の低速時の燃料消費問題を解決するためのものでした。

重油専焼水管缶8基と、タービン発電機2基で発電した電力で、電気モーター4基を駆動しました。公試では最大出力28,900馬力、最高速度21ノットを発揮しました。

発電タービンの形式は、姉妹艦で異なり、「コロラド」と「メリーランド」はウェスティングハウス社製、「ワシントン」と「ウェストバージニア」はGE社製のタービンを採用しました。

防御

コロラド級の防御様式は、前級とほぼ同じ全体防御方式でした。舷側装甲帯は、水線部で最大343mmの厚さがありました。水線下防御は、多層水雷防御を採用していました。

水平甲板の装甲は、主甲板と下甲板の複層構造でした。主砲塔は重装甲で、前盾は457mmの厚さがありました。

艦歴

コロラド級は、第二次世界大戦において太平洋戦線で活躍しました。真珠湾攻撃では「メリーランド」と「ウェストバージニア」が損傷しましたが、修理と改装を経て戦線に復帰しました。

「ウェストバージニア」はレイテ沖海戦で戦艦「山城」を撃沈するなどの戦果を挙げました。

コロラド級の3隻は、終戦まで活躍しましたが、戦後の1947年までに全艦退役し、スクラップとして処分されました。

同型艦

コロラド (BB-45)
メリーランド (BB-46)
ワシントン (BB-47) - 軍縮条約により標的艦として自沈処分
ウェストバージニア (BB-48)

まとめ

コロラド級戦艦は、アメリカ海軍が建造した最後の16インチ砲搭載戦艦であり、その後のアメリカ戦艦に大きな影響を与えました。第二次世界大戦では、太平洋戦線で活躍し、アメリカ海軍の勝利に貢献しました。

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