コロンビヤード砲

コロンビヤード砲

コロンビヤード砲（Columbiad）は、重い砲弾を自由に発射できる能力を持つ大口径の前装式滑腔砲です。この砲は、徹甲弾や榴弾を高角度および低角度で発射することができ、そのため長い射程を誇り、特に沿岸防衛において重宝されました。

この砲は1811年にアメリカ陸軍のジョージ・ボンフォード大佐によって発明され、米英戦争から20世紀初頭まで米国で幅広く使用されました。ただし、他国ではほとんど利用されないままでした。初めて作られたコロンビヤード砲は、口径7.25インチで50ポンドの砲弾を発射できるもので、コストが高かったために、アメリカ陸軍はその普及を控えていました。

1844年を過ぎてからようやく、8インチと10インチの口径を持つ砲の大量生産が可能となりました。8インチのコロンビヤード砲は65ポンドの榴弾を4400ヤード、徹甲弾を4800ヤード発射可能で、本体の重量は9240ポンドです。一方、10インチのコロンビヤード砲は15400ポンドで、128ポンドの榴弾を4800ヤード、徹甲弾を5600ヤード発射することができました。これらの砲は通常、海岸に据え付けられることが一般的で、ほとんどの場合、360度回転可能な砲台もありました。ただし、その重さから一度設置されると移動させることは難しかったのです。

南北戦争間近の時期に、火器士官のトーマス・ジェファーソン・ロッドマンはコロンビヤード砲の改良型を開発しました。この改良版は彼の名前を取ったロッドマン砲と呼ばれ、鋳造時にひび割れや損傷を起こしにくい設計がなされています。また、製作過程において鉄を均等に冷却し、滑らかに先細りの形状（通称「ソーダボトル」）に鋳造されることにより、強度が増しました。

1858年から南北戦争終結まで、北部の鋳造工場では様々な口径のロッドマン型コロンビヤード砲が製造されました。8インチ型は以前のものとほぼ同じ性能でしたが、15インチ型は25トン以上の重さで、400ポンドの砲弾を5000ヤード飛ばす能力を持っていました。そして、恐ろしい「怪物」と称される20インチ型は60トン以上の重さで、射程は5マイルにも達しました。この型は非常に少数しか生産されず、実戦で使用されることはありませんでした。

南部連合でもコロンビヤード砲は幅広く使用され、ほとんどの在庫は北部の兵器庫から獲得されたものでした。これらは初期の装甲艦に対抗する有効な手段となりましたが、南部連合では品質が低い8インチおよび10インチの型が生産され、連続使用には耐えられないことも多かったのです。また、南部連合軍はコロンビヤード砲にライフリングを施す試みも行っていました。

南北戦争の後、多くのコロンビヤード砲が海岸の要塞に放置され、1870年代末にはいくつかがライフリングされ、新しい鋼鉄装甲艦に対する試験も行われましたが、結果はあまり良くありませんでした。予算の制約も影響し、陸軍は米西戦争後に新しい砲に取って代わられ、滑腔式のコロンビヤード砲は在庫に残されました。現在では、多くのコロンビヤード砲が歴史的な海岸要塞を記念する公園で展示されています。また、全国の裁判所でも一部が保存されており、今なお「守護」する役割を果たしています。

小説に描かれたコロンビヤード砲

ジュール・ヴェルヌの小説『地球から月へ』では、南北戦争後のフロリダ州タンパに巨大なコロンビヤード砲が建設され、月へ砲弾を撃ち込むための構想が描かれています。初めはアルミニウム製の中空球体が砲弾として考えられていましたが、最終的には人間を運ぶ弾丸型へと変更されています。このアイデアは、加速度や空力加熱の問題から現実とはならないことが知られていますが、将来的には長い砲身を利用した新たな輸送技術が模索されています。

この小説のコロンビヤード砲は、6フィートの鉄で鋳造され、長さ900フィート、口径は9フィートに達し、重さは六万八千米トンにも及びます。地面に直接埋め込まれ、40万ポンドの火薬を装填することで、地球の大気圏を離れ月へ届くための速度を与える設計です。また、ディズニーランド・パリにある「スペース・マウンテン」のインスピレーションにもなっています。

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