コローニ・FC187

コローニ・FC187: コローニ・モータースポーツのF1デビューカー

コローニ・FC187は、1987年のF1世界選手権に参戦したコローニ・モータースポーツのフォーミュラ1カーであり、同チームにとっての初の自社開発車両です。このマシンは、外部に開発を委託していた過去から脱却し、独自のエンジニアリングを誇る車両として位置付けられました。

開発の背景

FC187は、若干25歳のエンジニア、ロベルト・オーリによって設計されました。彼は以前ダラーラでの経験を活かし、この車両を伝統的な方式で組み立てました。シャシーはカーボン樹脂、ケブラー、ノーメックスといった高性能素材を使用して、安全性を重視した設計が施されています。特に1988年のレギュレーションに適応する形でドライバーの安全が考慮され、ホイールベースは2800mmと長めに設定されました。また、サスペンションは前後ともにダブルウィッシュボーンを採用しており、シャシーもシンプルなコンセプトでデザインされています。

搭載されているエンジンはコスワースDFZで、ノヴァモーターのチューニングによって性能が向上しています。トランスミッションはヒューランド製の6速ギアボックスを搭載しており、重さは510kgと当時のF1カーの中で最も重い部類に入ります。

テストと初イベント

FC187は1987年7月に完成し、唯一のシャシーとして製作されました。外観は明るい黄色に塗装され、これがコローニのアイコンとなりました。初テストはイモラ・サーキットで行われ、ドライバーにはエンツォ・コローニが自ら乗り込みました。その後、1986年のF3チャンピオン、ニコラ・ラリーニがテスト走行に参加しました。

レース戦績

FC187は1987年[[イタリアグランプリ]]で公式にデビューしました。ドライバーにはラリーニが起用される予定でしたが、当時のスーパーライセンスが取得できなかったため、急遽起用されました。予選では完璧なパフォーマンスとは言えず、結果的に2秒差で予選落ちするなど、厳しい結果となりました。

次戦のポルトガルグランプリには車両が準備間に合わず出走できませんでしたが、空気力学的な設計やラジエーターの配置が調整されることとなりました。第13戦スペイングランプリでは予選を通過するも、決勝ではわずか8周でサスペンショントラブルによりリタイア。その後の3戦はヨーロッパ外での開催のため、チームは参加を見送る決断をしました。

シーズン後、FC187は1988年に改良され、コローニ・FC188として再登場することとなります。FC187は、コローニ・モータースポーツがF1の世界に足を踏み入れる象徴的な車両であり、その基礎は以降のモデルに受け継がれていきました。

参考文献

アドリアーノ・チマロスティ著「Das Jahrhundert des Rennsports」など、各書籍がFC187に関する重要な情報源とされています。

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