コンスタンチン・ソモフ

コンスタンチン・アンドレエヴィチ・ソモフ（Konstantin Andreyevich Somov、1869年11月30日 - 1939年5月6日）は、ロシア帝国出身の画家であり、「芸術世界」という美術家グループの一員として活躍しました。彼の作風は、特に18世紀のロココ美術に強い影響を受けており、その優美で繊細な表現が特徴です。

ソモフは、サンクトペテルブルクで美術史研究者でありエルミタージュ美術館の学芸員を務める家庭に生まれました。幼い頃から西欧美術、特に18世紀の美術に関心を抱き、その影響は彼の作品にも色濃く表れています。

1888年から1897年まで、ペテルブルク帝国美術アカデミーでイリヤ・レーピンに師事し、その間にアレクサンドル・ベノワと親交を深めました。ベノワの紹介により、セルゲイ・ディアギレフやレオン・バクストとも知り合い、『芸術世界』創刊メンバーの一員となります。ソモフは、このグループの機関誌に積極的に寄稿し、その活動を支えました。

ソモフの代表作の一つである「青衣の夫人」は、3年もの歳月をかけて制作された大作であり、18世紀の肖像画家の手法を駆使した繊細な描写が特徴です。この作品は、彼の卓越した技術とロココ美術への深い理解を示しています。

1910年代には、アレクサンドル・ブロークの詩集のためにロココ風の道化師の場面や挿絵を手がけました。ソモフは、特にジャン・アントワーヌ・ワトーやジャン・オノレ・フラゴナールといったロココ期の画家に影響を受け、水彩やグワッシュを用いた作品を多く制作しました。

彼の作品は、生前から海外、特にドイツで多く展示され、1909年にはドイツで最初のモノグラフが出版されました。このことからも、彼の国際的な評価の高さが伺えます。

十月革命後、ソモフはアメリカ合衆国に移住しますが、その環境が自身の芸術に合わないと感じ、後にパリへ移住しました。1925年には、パリでセルゲイ・ラフマニノフの肖像画を制作し、この作品はラフマニノフの最も有名な肖像画の一つとして知られています。

ソモフは、パリで客死し、サン・ジュヌヴィエーヴ・デ・ボワ墓地に埋葬されました。

2007年6月14日には、彼の風景画「虹」（1927年）がクリスティーズのオークションに出品され、330万ポンドという高値で落札されました。これは、当時クリスティーズで競り落とされたロシア美術としては最高記録を更新しましたが、後にナタリア・ゴンチャロワの「リンゴ狩り」が494万8000ポンドで落札されたため、記録は塗り替えられました。

ソモフは、同性愛者であったことも知られています。

彼の作品は、その優雅さと繊細さで今日でも高く評価されており、ロココ美術の精神を現代に伝える重要な画家の一人として認識されています。

主要作品

青衣の夫人
道化師の場面や挿絵 (アレクサンドル・ブロークの詩集のため)
セルゲイ・ラフマニノフの肖像画
虹

ソモフの作品は、その洗練された美しさと、ロココ時代への深い理解によって、見る者を魅了し続けています。

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