コンスタント・ランバート

レナード・コンスタント・ランバート

レナード・コンスタント・ランバート（Leonard Constant Lambert）は、1905年8月23日に生を受け、1951年8月21日に短い生涯を閉じた、20世紀イギリスを代表する作曲家であり指揮者です。

彼の家族背景は芸術と深く結びついていました。父ジョージ・ワシントン・ランバート（1873年-1930年）は、ロシア生まれながらオーストラリアで活躍した著名な画家でした。また、息子クリストファー・"キット"・ランバート（1935年-1981年）は、音楽プロデューサーとして名を馳せ、特に伝説的なロック・バンドであるザ・フーのマネージャーとして知られています。

ランバートはロンドンの地に生まれ育ちました。音楽の才能を早くから開花させ、十代の頃には既に作曲活動を始めています。権威ある王立音楽大学に進学し、イギリス音楽史において重要な位置を占める作曲家、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズに師事しました。

作曲家としてのキャリアにおいて、彼は若くして国際的な注目を集める機会に恵まれます。1925年には、当時世界をリードしていた革新的なバレエ団、バレエ・リュスを率いるセルゲイ・ディアギレフからの依頼を受け、その舞台のためにバレエ音楽「ロメオとジュリエット」を書き下ろしました。これは彼のキャリアの重要な出発点の一つとなりました。さらに、ジャズのリズムやハーモニーを大胆に取り入れたカンタータ「リオ・グランデ」は、その斬新さから大きな反響を呼び、彼を作曲家として広く知らしめることになります。

ランバートはバレエ音楽の分野で特に重要な貢献を果たしました。1931年には、後に英国バレエ界の中心的存在となるヴィック・ウェルズ・バレエ団（現ロイヤル・バレエ団）の設立に深く関与しました。彼はこのバレエ団の音楽監督および首席指揮者として、設立から1947年までの長きにわたり、その発展に尽力しました。この期間、彼は数多くのバレエ音楽を作曲するとともに、オーケストラを指揮し、バレエ公演の音楽的水準向上に貢献しました。

しかし、彼のキャリアには転機も訪れます。彼が心血を注いで作曲した大規模な合唱曲「夏の遺言書」が、批評家や聴衆から期待されたほどの評価を得られなかったことは、彼にとって少なからず影響を与えたとされています。この経験を経て、彼は作曲活動から指揮活動へとより一層重きを置くようになりました。

指揮者としてのランバートは、幅広いレパートリーを持ちましたが、特にロマン派の作曲家たちの作品を得意としました。リスト、シャブリエ、ワルトトイフェルといった作曲家や、ロシア・ロマン派の作品を数多く取り上げ、その解釈は高く評価されました。

残念ながら、彼の人生は比較的短いものでした。長年にわたる健康を損なう習慣が影響し、晩年は体調を崩しがちでした。1951年には糖尿病と肺炎を併発し、故郷ロンドンで46年の生涯を閉じました。彼の亡骸は、父ジョージ、母、そして早世した息子クリストファーと共に、ロンドンのブロンプトン墓地に静かに眠っています。

コンスタント・ランバートは、作曲家、指揮者として、特にバレエ音楽とジャズを取り入れた作品において、英国音楽史に独自の足跡を残しました。多才な才能を持ちながらも、その生涯は決して平穏ではなかった彼ですが、生み出した音楽は今なお多くの人々に聴き継がれています。

主な作品

バレエ「ロミオとジュリエット」（1925）
管弦楽のための音楽（1927）
カンタータ「リオ・グランデ」（1927）
バレエ「ポモーナ」（1927）
ピアノソナタ（1929）
ピアノと9つの楽器のための協奏曲（1930-31）
合唱曲「夏の遺言書」（1932-35）
バレエ「占星天宮図」（1937）
英雄へのささげもの（1942）
映画音楽「アンナ・カレーニナ」（1947）
* バレエ「ティレジアス」（1950）

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