コンベンツァル聖フランシスコ修道会

コンベンツアル聖フランシスコ修道会

コンベンツアル聖フランシスコ修道会（正式名称：Ordo Fratrum Minorum Conventualium、略称：OFMConv.）は、カトリック教会に属する男性修道会です。その起源は13世紀初頭にアッシジの聖フランシスコによって創立された「小さき兄弟会」に遡ります。この修道会は、その歴史の中で発展し、現在ではフランシスコ会の主要な三つの流れの一つを形成しています。本部はイタリアのローマに置かれ、世界的な活動を展開しています。

歴史的背景

修道会の歴史は、貧困と奉仕のうちにキリストに従うことを理想としたアッシジの聖フランシスコ（1182年生誕）が1210年に「小さき兄弟会」を創立したことに始まります。この兄弟会は急速に発展しましたが、時代とともに多様な解釈や運動が生じました。1517年には、教皇レオ10世の指示により、「小さき兄弟会」は「コンベンツアル派」と「オッセルバンテス派」に分かれました。さらに後には「カプチン派」も独立し、これら三つの流れが現在のフランシスコ会を構成しています。

世界における活動

コンベンツアル聖フランシスコ修道会は、その長い歴史の中で活動範囲を世界に広げてきました。現在では、実に59カ国以上に会員が派遣され、それぞれの地域社会に根差した宣教活動を行っています。活動地域はアジア、オセアニア、アフリカ、南北アメリカ、そしてヨーロッパと多岐にわたります。1998年末の時点では、全世界で4500人以上の会員が活動していました。修道会はまた、イタリアのローマに教皇庁立聖ボナベンツラ神学大学という国際的な神学研究・教育機関を設置しており、カトリックの信仰と学術の発展にも貢献しています。

日本における歩み

日本へのコンベンツアル聖フランシスコ修道会の宣教は、1930年4月24日に始まりました。この日、ポーランドのクラクフ管区から、後に聖人となるマキシミリアノ・コルベ神父、ゼノ・ゼブロフスキー修道士、そしてヒラリオ修道士の三名が長崎の地に降り立ちました。彼らは来日後すぐに出版活動を開始し、同年5月には雑誌「無原罪の聖母の騎士」を発行しました。これは現在の月刊誌「聖母の騎士」の前身であり、活発なメディアを通じた宣教活動の始まりでした。コルベ神父はまた、「無原罪の聖母の騎士会」（M.I.）を創設し、聖母マリアを保護者とする信仰運動を展開しました。

初期の修道院は、長崎の大浦天主堂近くにあった旧雨森病院の建物を仮に使用していましたが、その後、本河内水源地に近い山林を取得し、自前の修道院を建設しました。日本管区の設立にも尽力したコルベ神父がポーランドへ一時帰国中の1949年12月8日、ともに来日したミエチスラオ・マリア・ミロハナ神父（当時は神学生）によって、「けがれなき聖母の騎士聖フランシスコ修道女会」が創立されました。この修道女会は、翌1950年に教皇庁の認可を受けて長崎教区管轄の修道会となりました。

第二次世界大戦後、修道会は出版による布教活動に加え、教育と福祉の分野へと活動を広げました。神学校を起源とする教育事業では、兵庫県にある仁川学院や長崎県にある聖母の騎士学園などが設立され、初等教育から中等教育までを提供しています。また、様々な福祉事業にも携わり、地域社会への貢献に努めています。現代においても、コンベンツアル聖フランシスコ修道会は、創立者である聖フランシスコの清貧、兄弟愛、そして福音宣教という理念に基づき、世界各地で活動を続けています。

聖地と聖人

修道会は、創立者であるアッシジの聖フランシスコゆかりの重要な聖地の管理を担っています。これには、聖フランシスコの墓所があるイタリアのアッシジの聖フランシスコ大聖堂、パドヴァの聖アントニオの墓所があるパドヴァの聖アントニオ大聖堂、聖フランシスコと初期の弟子たちが滞在したリヴォトルト教会、そしてフィレンツェのサンタクローチェ教会などが含まれます。

また、1517年の分離以降、コンベンツアル聖フランシスコ修道会から多くの尊い聖人や福者が輩出されています。その中でも特に有名な聖人としては、空中浮揚の奇跡で知られるクペルチノのヨゼフ、慈善活動に尽力したアントニオ・ファザニ、そして日本の宣教にも生涯を捧げたマキシミリアノ・コルベなどが挙げられます。彼らは修道会の精神を体現し、多くの人々に信仰の模範を示しています。

コンベンツアル聖フランシスコ修道会は、その豊かな歴史と伝統を礎に、現代社会においてもフランシスコのカリスマを生き、福音の光を伝えるために活動しています。

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