ゴッフレド・ペトラッシ

ゴッフレード・ペトラッシ（Goffredo Petrassi, 1904年7月16日 - 2003年3月3日）は、イタリアの作曲家であり、20世紀の音楽シーンにおいて重要な役割を果たしました。彼の作品は、新古典主義から無調、十二音技法へと進化を遂げながらも、独自の音楽言語を確立し、その叙情性を抑制した純度の高い響きは、晩年に至るまで一貫していました。

生涯と音楽的変遷

ペトラッシは、初期には新古典主義と旋法的な音楽様式に影響を受けました。しかし、次第に無調や十二音技法といった、より現代的な作曲技法へと関心を移していきました。彼は、前衛的な動向にただ迎合するのではなく、自身の音楽的探求に基づいた独自のスタイルを築き上げました。彼の作品は、感情的な表現を極力抑え、音そのものの美しさを追求する傾向が強く、その徹底した姿勢は、彼の音楽に独特の魅力を与えています。

ペトラッシは、イタリアの作曲家として初めて「管弦楽のための協奏曲」を作曲したマリオ・ピラーティに続き、このジャンルで8曲もの力作を世に送り出しました。これらの協奏曲は、いずれも質の高い管弦楽作品であり、録音も比較的容易に入手できます。特に、1934年に作曲された「管弦楽のための協奏曲第1番」の第3楽章は、映画「スーパーマン」のサウンドトラックに酷似していることで知られています。また、日本では無伴奏合唱曲「ナンセンス」がよく歌われており、映画音楽では「家族日誌」が知られています。1970年代には、枯れた味わいを持つギターソロのための「NUNC」を作曲しました。

ルイージ・ダッラピッコラ、ジャチント・シェルシと並び、ペトラッシは20世紀イタリア音楽の三大巨匠と称えられています。彼は、晩年までペトラッシ国際作曲コンクールの審査委員長を務め、杖をつきながらも、新たな才能の発掘に熱心に取り組みました。このコンクールからは、イヴァン・フェデレや松平頼則といった著名な作曲家が輩出されています。

主要作品

ペトラッシは、ソロ、室内楽、声楽を伴う室内楽、大編成の声楽作品、オーケストラのための協奏曲、その他のオーケストラ作品、オペラとバレエなど、幅広いジャンルで作品を残しました。以下に主要な作品を挙げます。

ソロ：ピアノのための「パルティータ」、「エクロガ」、「トッカータ」、ギターのための「夜の響き」、「NUNC」、ヴァイオリンのための「影への賛歌」、ヴィオラのための「ヴィオラソロ」、ハープのための「フルー」など。
室内楽：チェロとピアノのためのソナタ、弦楽四重奏のためのシンフォニア、フルートとピアノのための「サラバンダ」、ヴァイオリンとピアノのための「導入とアレグロ」、2つのフルートのための「インヴェンツィオーネ」、クラヴサンと10の楽器のためのソナタ、2つのチェロのための5つの二重奏曲、弦楽四重奏曲、5つの楽器のためのセレナータ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのためのトリオ、ハープ、ギター、マンドリンのためのトリオ、金管楽器とティンパニのための音楽、3人の演奏家のための「3対7」、15人の演奏家のための「エストリ」、4つのトランペットと4つのトロンボーンのための八重奏曲、フルートのための「スフル」、フルート、ピッコロ、クラヴサンのための「アラ」、弦楽四重奏のための「オディ」、トランペットのためのファンファーレ、ギターとクラヴサンのための「エイリアス」、7人の演奏家のための大七重奏曲、フルートとピアノのための「ロマンツェッタ」、6人の演奏家のための「秋の六重奏曲」、朗読と6人の演奏家のための「被造物の賛歌」、12の金管楽器のための「インノ」など。
声楽を伴う室内楽：声とピアノのための「救い」、「ゴシキヒワの死」、「バレルオルガン」、「ローマ郊外の歌」、「時の色彩」、「子守歌」、「創世記からの祝福」、「子守歌」、「私を死なせてくれ」、「サッフォーの2つの抒情詩」、テノール、バリトン、オルガンのための「4つの聖歌」、バリトンとピアノのための「3つの抒情詩」、「奇跡」、ソプラノ、フルート、オルガンのための「グロリア」、バリトンと12人の演奏家のための「アランの言葉」、バリトンまたはバスと5つの楽器のための「至福の言葉」など。
大編成の声楽作品：合唱とオーケストラのための「3つの合唱曲」、「詩篇第9番」、ソプラノ、混声合唱、オーケストラのための「マニフィカト」、合唱と楽器のための「死者の合唱」、「暗い夜」カンタータ、混声合唱のための「ナンセンス」、「6番目のナンセンス」、「受難のモテット」、混声合唱、金管楽器、ヴィオラ、チェロのための「キリストの祈り」、混声合唱のための「3つの聖歌」、合唱と弦楽器のための「キリエ」など。
オーケストラのための協奏曲：8つの協奏曲。
その他のオーケストラ作品：弦楽のための「前奏曲とフーガ」、「ニ長調のディヴェルティメント」、「演奏会用序曲」、「パッサカリア」、「パルティータ」、「ピアノとオーケストラのための協奏曲」、「祝賀の挨拶」、「フルートとオーケストラのための協奏曲」、「プロローグと5つのインヴェンツィオーネ」、「弦楽と4つのトランペットのための詩」、「断片」など。
オペラとバレエ：「オルランドの狂気」、「ドン・キホーテの肖像」、「コルドバ人」、「空気の死」など。

ペトラッシの音楽は、その厳格な形式と純粋な響きによって、聴衆に深い印象を与えます。彼の作品は、20世紀の音楽史における重要な遺産として、今後も長く演奏され、聴き継がれていくでしょう。

参考文献・関連文献・外部リンク

https://www.chandos.net/chanimages/Booklets/NX3141.pdf
http://www-5.unipv.it/girardi/2015_DM1/sachs_petrassi.pdf
http://www-5.unipv.it/girardi/saggi/2005_Petrassi.pdf
https://www.tactus.it/products-page/contemporaneo/tc901601-goffredo-petrassi-opere-per-chitarra-angelo-colone/
https://www.rivegaucheconcerti.org/adlib/RiccardoPiacentini_IConcertiPerOrchestraDiGoffredoPetrassi(TesiDiLaurea,Torino1984).pdf.pdf)
http://www.istruzione.lombardia.gov.it/wp-content/uploads/2016/07/Gabisani_Maka-Petrassi-Goffredo-Petit-piece.pdf
http://www.comune.torino.it/settembremusica/archivio/sala2004/pdf_2004/6-9-2004_ore_17.pdf
http://johnstoneimaging.com/db18/85680.pdf
Valerio Mattioli, Roma 60. Viaggio alle radici dell'underground italiano. Parte seconda, Blow Up, #188 gennaio 2014, Tuttle Edizioni
Autori vari, A Goffredo Petrassi, Edizioni Suvini Zerboni, Milano (1994)
Goffredo Petrassi (elaborazione di Carla Vasio), Autoritratto, Edizioni Laterza, Bari (1991), ISBN 88-420-3862-8
Autori vari, Petrassi a cura di Enzo Restagno, Edizioni EDT, Torino (1986), ISBN 88-7063-044-7
日本語版ペトラッシサイト - ウェイバックマシン（2003年10月23日アーカイブ分）
* ゴッフレド・ペトラッシ - IMDb（英語）

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