ゴーアンドゴー

ゴーアンドゴー：アメリカ三冠競走を制したヨーロッパの英雄

ゴーアンドゴー (Go and Go) は、アイルランドで生まれ、アイルランドとアメリカで活躍した競走馬です。その最大の魅力は、アメリカ三冠競走を制覇した唯一のヨーロッパ調教馬であるという点にあります。この偉業は、欧州とアメリカの競馬界双方に大きな衝撃を与え、ゴーアンドゴーを伝説的な存在へと押し上げました。

ゴーアンドゴーの馬主兼生産者は、スイスの実業家であるウォルター・ハーフナー氏です。アイルランドのキルデア県にあるモイグレア・スタッド・ファームで誕生した彼は、アメリカ二冠馬ノーザンダンサーを父方の祖父に持つ一方、父ビーマイゲストと母の父アレッジドは共にヨーロッパの競走馬という、国際色豊かな血統を持っていました。

1989年、2歳となったゴーアンドゴーはアイルランドでデビュー。2戦目で初勝利を収めると、続く準重賞も連勝し、将来性を早くも示しました。その後、ナショナルステークスでは7着と結果を残せませんでしたが、アメリカへの遠征を決断。初のダートコースとなったローレルフューチュリティでは優勝を果たし、その適性を見せつけました。しかし、ブリーダーズカップジュヴェナイルでは8着に終わり、アイルランドへと帰国しました。

翌1990年、3歳となったゴーアンドゴーは、緒戦の準重賞を勝利で飾ると、アイリッシュダービートライアルで4着に入線。再びアメリカへと遠征し、ベルモントステークスに挑戦しました。4番人気と低評価だったものの、その実力は本物でした。マイケル・キネーン騎手とのコンビで、2着馬サーティシックスレッドに8 1/4馬身差という圧倒的な強さで優勝。アメリカ競馬ファンに鮮烈な印象を与え、その名を広く知らしめました。

ベルモントステークスの勝利後もアメリカに留まり、トラヴァーズステークスでは1番人気に推されましたが、7着と期待に応えることができませんでした。ブリーダーズカップクラシックでは競走中止という結果に終わってしまいました。その後、管理調教師を地元のウェイン・ルーカス氏に変更。しかしながら、翌1991年はアローワンス競走（一般戦）を1勝したのみとなり、同年9月、競走生活に幕を閉じました。

引退後は、ニューヨーク州のウォルドルフ・ファームで種牡馬として過ごしました。しかしながら、2000年4月、放牧中の事故により安楽死処分となりました。産駒はサウスウェストステークス（米G3）を優勝したホットウェルズなど、大きな成功を収めた産駒は限られていました。

ゴーアンドゴーの競走成績は、2歳時に6戦3勝（ローレルフューチュリティ（米G2）優勝）、3歳時に6戦2勝（ベルモントステークス（米G1）優勝）、4歳時に3戦1勝というものでした。

ベルモントステークスでの圧勝は、ヨーロッパ調教馬によるアメリカ三冠競走制覇という歴史的偉業への道を切り開く、重要な一歩となりました。ゴーアンドゴーは、その短いながらも輝かしい競走生活を通じて、競馬史に永遠にその名を刻むことでしょう。彼の物語は、国際色豊かな血統、異なる競馬文化への挑戦、そして究極の勝利という、多くの要素が織りなすドラマチックなものです。彼の活躍は、多くの競走馬関係者や競馬ファンに、今もなお語り継がれています。そして、ゴーアンドゴーの物語は、これからも多くの人の心を掴み続けることでしょう。

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