アレッジド

アレッジド：凱旋門賞連覇の偉業と、その生涯

1970年代、ヨーロッパ競馬界を席巻したアイルランドの競走馬、アレッジド。その名を冠したこの馬は、曽祖父リボー以来6頭目となる凱旋門賞連覇の偉業を達成しました。本稿では、その華麗なる競走生活から引退後の種牡馬としての活躍まで、アレッジドの生涯を詳細にわたって辿ります。

誕生とセリ市

1974年5月4日、ケンタッキー州クレイボーンファームにて、アメリカ2歳チャンピオン産駒のホイストザフラッグと、重賞4勝を含む13勝を挙げた名牝プリンセスパウトの間に誕生しました。翌年キーンランドセリ市に上場されますが、主取りとなり、その後、カリフォルニア州の育成業者を経て、17万5000ドルでロバート・サングスター氏に落札されます。サングスター氏は複数の共同所有者と共に競走馬を所有・管理する馬主として知られており、アレッジドはアイルランドの調教師ヴィンセント・オブライエン氏を含む複数名との共同所有の下、オブライエン氏の管理下に置かれました。

競走生活：華麗なる活躍

2歳時には1戦のみの出場でしたが、3歳（1977年）になると、レパーズタウン競馬場のバリードイルステークス優勝を皮切りに、ロイヤルウィップステークス（G3）とガリニュールステークス（G2）を制覇。ガリニュールステークスでは後のアイリッシュセントレジャー優勝馬を破るなど、早くからその潜在能力の高さを示しました。オブライエン氏はアレッジドのスタミナを高く評価しつつも、スピード不足を課題と捉え、セントレジャーステークスを目標に調整を進めました。ヨーク競馬場のグレートヴォルティジュールステークス（G2）では、ダービー上位馬を相手に勝利を収め、その実力を証明しました。しかし、セントレジャーステークスでは惜しくも2着に敗れ、生涯唯一の黒星を喫します。

続く凱旋門賞では、圧倒的な1番人気に応え見事に優勝。この勝利は、イギリスの年度代表馬選定において、ダービー3勝のザ・ミンストレルを抑えるほどの高い評価を獲得することに繋がりました。フランスでも年度代表馬に選ばれ、その年の3歳フリーハンデでもトップの評価を得ました。

4歳（1978年）には、ロイヤルウィップステークスで再び勝利を飾ったものの、コロネーションカップとキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスは、それぞれ馬場状態と疾病のため回避。しかし、凱旋門賞連覇への挑戦を諦めず、プランスドランジュ賞でロンシャン競馬場のコースレコードを樹立して優勝。そして、再び1番人気に応え、凱旋門賞連覇という偉業を達成しました。オブライエン氏は、アレッジドをニジンスキーに次ぐ最高の馬と評しました。その後、ワシントンDCインターナショナルへの招待を辞退し、種牡馬へと転身します。この年のフランス年度代表馬に選出された他、古馬フリーハンデでもトップの評価を得ていました。引退時の獲得賞金は、当時のレートで換算してイギリス・アイルランド調教馬のレコードを樹立するほどのものだったと言われています。

種牡馬としての成功

種牡馬となったアレッジドは、ケンタッキー州のウォルマックファームで繋養され、1600万ドルのシンジケートが組まれました。リーディングサイアーにも複数回ランクインし、ミスアレッジド（ブリーダーズカップ・ターフ、ヴェルメイユ賞）、ローソサエティー（アイリッシュダービー）、ミッドウェイレイディー（1000ギニー、オークス）、シャントゥ（セントレジャーステークス、ミラノ大賞典）など、数多くのステークスウイナーを輩出。日本にもフェアジャッジメント、ワイズカウンセラーが輸入されています。1997年に種牡馬を引退し、2000年に27歳でその生涯を終えました。

血統と近親馬

アレッジドの血統背景や、全弟であるオーストラリアで種牡馬となったデルガド、半妹の産駒でヨーロッパで重賞3勝を挙げたパークァドといった近親馬についても、今後の研究が必要とされています。

まとめ

アレッジドは、競走馬として、そして種牡馬として、競馬史にその名を刻んだ偉大な競走馬でした。その輝かしい功績は、後世の競馬ファンに長く語り継がれることでしょう。彼の生涯は、競走馬の持つ可能性と、その潜在能力を最大限に引き出すことの重要性を改めて教えてくれます。

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