サイシン (中国野菜)

サイシン（菜心）について

サイシン、または菜心（学名：Brassica rapa var. utilis）は、アブラナ科の二年生植物で、特に中国野菜として広く知られています。この野菜は、実際にはハクサイの変種に分類されますが、その特徴的な花蕾と茎が食材として注目されています。中国では「菜心（ツアイシン）」、「菜苔（ツアイタイ）」、「油菜心（イウツアイシン）」など多様な名前で親しまれています。

原産地と歴史

サイシンは、元々はヨーロッパが原産の植物ですが、中国の華中地域で分化し、その後、唐代に広まり中国の食文化に欠かせない野菜となりました。長い歴史を経て、中国各地で様々なスタイルで栽培され、料理に使われるようになりました。

名前の由来

日本では「菜心」をそのまま日本式に発音し「サイシン」と呼んでおり、これは中国語での読み方「càixīn」とも一致します。一方、英語では「Choy Sum」と称され、こちらは広東語に由来しています。

栽培方法

サイシンの栽培は比較的容易です。一般的には種まきから花蕾が発生するまで30日から70日程度かかりますが、品種によって異なります。大きく早生種と晩生種に分かれますが、特に早生種が多く栽培されています。この野菜は、低温に反応なく花芽が形成される特性があり、年間を通じて育てることが可能です。特に暑い夏の間でも成長しやすく、冬場は簡易に霜よけを施すだけで栽培が可能です。

サイシンを育てるための土壌は良質な堆肥を使用することが重要で、これにより質の高い花茎を得ることができます。具体的には、畑の幅60cmごとに15cmの間隔を取って種を撒くための溝を作り、そこに種を均等になるように播きます。また、条まきの場合は平らな畝を作り、1.5cmの深さで種を間隔を空けて撒きます。植え付け後は間引きを行うことで、適切な間隔を保つことができます。

肥料の追肥は本葉が5～6枚になったころから始め、草丈に応じて適切に与えます。収穫は、花が1～2個咲いた最初の薹を確認したら株ごと引き抜くのが通例です。また、株元の下葉を数枚残しておくことで脇芽が成長し、長期間にわたって収穫が可能になります。乾燥に注意し、灌水も怠らないことで、太く柔らかい花茎を得ることができます。

中国南部の広東省がサイシンの主要な生産地であり、日本では主に夏から秋にかけて収穫されます。ただし、増城市で生産される「遅菜心」は冬場に市場に出回る珍しい品種です。

料理での利用

サイシンはその柔らかい花茎や若葉を主に野菜として利用し、さまざまな料理に重宝されます。特に、蕾が付いた茎や全株を活用して、炒め物や和え物、汁物、酢の物、漬物、おひたしなど、幅広い料理に使える素材です。この野菜はクセが少なく、味付けしやすいため、家庭料理でも多く採用されています。サイシンを使った料理は、栄養価が高く、健康にも良い選択肢となるでしょう。

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