サウス・オブ・ヘヴン

『サウス・オブ・ヘヴン』（South of Heaven）は、アメリカのスラッシュメタルバンド、スレイヤーが1988年に発表した4枚目のスタジオ・アルバムです。

制作背景

前作『レイン・イン・ブラッド』（1986年）でスレイヤーと共同プロデュースを務めたリック・ルービンが、デフ・ジャムから独立し、新レーベルのデフ・アメリカン・レコーディングス（後のアメリカン・レコーディングス）を設立。スレイヤーも同レーベルに移籍し、ルービンは引き続き本作のプロデュースを担当しました。

音楽性と評価

音楽的には、それまでの作品とは異なり、スロー～ミドルテンポの楽曲が増加。Allmusic.comのアレックス・ヘンダーソンは、「スレイヤーはヘヴィネスを犠牲にすることなく、ポップな要素を取り入れることなく、テンポを遅くすることに成功した」と評価しています。ボーカリストのトム・アラヤは、映画『レス・ザン・ゼロ』（1988年公開）のサウンドトラックに提供した「イン・ア・ガダ・ダ・ヴィダ」（アイアン・バタフライのカバー）で、歌詞を重視したボーカル・スタイルに変化しており、本作でもその歌唱法が披露されました。

しかし、この音楽性の変化は発表当時、物議を醸し、日本の音楽雑誌などでも否定的なレビューが見られました。それまでのスラッシュメタルのイメージを覆す、重く、遅いテンポの楽曲は、一部のファンや評論家には受け入れられなかったようです。

楽曲について

「ディシデント・アグレッサー」は、ジューダス・プリーストが1977年のアルバム『背信の門』で発表した楽曲のカバーです。スレイヤーらしいスラッシュメタルにアレンジされています。

収録曲

1. サウス・オブ・ヘヴン - "South of Heaven" - 4:58
作詞：トム・アラヤ／作曲：ジェフ・ハンネマン
2. サイレント・スクリーム - "Silent Scream" - 3:06
作詞：トム・アラヤ／作曲：ジェフ・ハンネマン、ケリー・キング
3. ライヴ・アンデッド - "Live Undead" - 3:50
作詞：トム・アラヤ、ケリー・キング／作曲：ジェフ・ハンネマン
4. 十字架の裏側 - "Behind the Crooked Cross" - 3:14
作詞・作曲：ジェフ・ハンネマン
5. マンダトリー・スイサイド - "Mandatory Suicide" - 4:05
作詞：トム・アラヤ、ジェフ・ハンネマン／作曲：ケリー・キング
6. ゴースツ・オブ・ウォー - "Ghosts of War" - 3:53
作詞：ケリー・キング／作曲：ジェフ・ハンネマン、ケリー・キング
7. リード・ビトゥイーン・ザ・ライズ - "Read Between the Lies" - 3:20
作詞：トム・アラヤ、ケリー・キング／作曲：ジェフ・ハンネマン
8. クレンズ・ザ・ソウル - "Cleanse the Soul" - 3:01
作詞：トム・アラヤ、ケリー・キング／作曲：ジェフ・ハンネマン
9. ディシデント・アグレッサー - "Dissident Aggressor" - 2:35
作詞・作曲：ロブ・ハルフォード、K・K・ダウニング、グレン・ティプトン
10. スピル・ザ・ブラッド - "Spill the Blood" - 4:49
作詞・作曲：ジェフ・ハンネマン

参加ミュージシャン

トム・アラヤ - ボーカル、ベース
ジェフ・ハンネマン - ギター
ケリー・キング - ギター
デイヴ・ロンバード - ドラムス

『サウス・オブ・ヘヴン』は、発表当時は賛否両論ありましたが、現在ではスレイヤーの代表作の一つとして評価されています。その後のスラッシュメタル、ヘヴィメタルに大きな影響を与えた重要な作品です。

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