サザーランド公爵

サザーランド公爵：歴史と変遷

サザーランド公爵は、1833年に第2代スタッフォード侯爵ジョージ・ルーソン＝ゴアが叙位されたことに始まる、連合王国貴族の公爵位です。この爵位は、ゴア家からエジャートン家へと継承され、その歴史は複雑な変遷を辿ってきました。

ゴア家による公爵位叙爵

ヨークシャー・スティッテナムの地主であったトマス・ゴアは、1620年にイングランド準男爵位を授与されました。彼はイングランド内戦で王党派として活躍しました。その子トマスはフランセス・ルーソンと結婚し、その次男ウィリアム・ルーソン＝ゴアは、母方の大叔父から土地を相続した際に「ルーソン＝ゴア」と改名しました。ウィリアムは庶民院議員も務めました。

その息子ジョン・ルーソン＝ゴアも庶民院議員を務め、1703年にはゴア男爵に叙せられ貴族院議員となりました。その息子の第2代ゴア男爵ジョン・ルーソン＝ゴアは、政界で活躍し、1746年にはトレンサム子爵とゴア伯爵に叙せられました。

第2代ゴア伯爵グランヴィル・ルーソン＝ゴアは、閣僚職を歴任し、1786年にスタッフォード侯爵に叙せられました。その息子、第2代スタッフォード侯爵ジョージ・グランヴィル・ルーソン＝ゴアは、サザーランド伯爵家の女性当主エリザベスと結婚し、1833年にサザーランド公爵に叙せられました。彼は広大な土地を所有し、その地代収入は莫大なものでした。

サザーランド伯爵位との関係

初代サザーランド公爵の長男ジョージ・サザーランド＝ルーソン＝ゴアは、父から公爵位を、母からサザーランド伯爵位を継承しました。以降、伯爵位は5代公爵まで公爵位所有者によって継承されました。1861年には、3代公爵の妻アンがクロマーティ女伯爵に叙せられましたが、この爵位は公爵位とは別に継承されることとなりました。

エジャートン家による公爵位継承

1963年、5代サザーランド公爵の死去により、サザーランド伯爵位とサザーランド公爵位の継承者が分かれました。伯爵位は女系継承が可能なスコットランド貴族爵位であり、公爵位は男系男子に限定される連合王国貴族爵位であったためです。サザーランド伯爵位は、5代公爵の姪の子であるアリステア・サザーランドが継承しました。

一方、サザーランド公爵位は、初代公爵に遡る分流にあたる第5代エルズミア伯爵ジョン・エジャートンが継承しました。エルズミア伯爵家は、初代公爵の次男フランシスを祖としています。フランシスは、ブリッジウォーター公爵の財産を相続したため、エジャートンに改姓しました。彼は政界でも活躍し、エルズミア伯爵に叙せられました。

その玄孫が第6代サザーランド公爵位を継承することになったジョンです。現在の当主は、ジョンの息子であるフランシス・エジャートンです。

歴代当主と爵位

現在の当主であるフランシス・エジャートンは、サザーランド公爵、スタッフォード侯爵、ゴア伯爵、エルズミア伯爵など、複数の爵位を保有しています。

歴代当主は、準男爵から始まり、ゴア男爵、ゴア伯爵、スタッフォード侯爵、そしてサザーランド公爵へと爵位を重ねていきました。

爵位継承順位

現在の爵位継承順位は、現当主の長男ジェイムズ・グランヴィル・エジャートンが最上位にあり、以下、現当主の次男、初代エルズミア伯の次男の玄孫へと続いています。

サザーランド公爵家は、その歴史の中で多くの爵位を保持し、広大な土地を所有し、政治・経済の両面で大きな影響力を持ってきました。その歴史は、イギリス貴族社会の変遷を映し出す鏡とも言えるでしょう。

参考文献

水谷三公『英国貴族と近代 持続する統治1640-1880』東京大学出版会、1987年。ISBN 978-4130300636。
Hussey, Christopher (1931). The work of Sir Robert Lorimer. Country Life.
Montgomery-Massingberd, Hugh; Sykes, Christopher Simon (1997). Great Houses of Scotland*. Laurence King Publishing. ISBN 9781856691062.

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