サティヤ・サイ・ババ

サティヤ・サイ・ババ：生涯、教え、そして遺産

サティヤ・サイ・ババ（Sathya Sai Baba, 1926年 11月23日 - 2011年4月24日）は、インドを代表するスピリチュアルリーダーであり、その活動は国際的な広がりを持ちました。日本では「サイババ」として知られていますが、正確には「サーイー・バーバー」と発音します。彼は、教育、医療、社会福祉活動を通じて、多くの人々に影響を与えました。

生涯

誕生と幼少期

1926年 11月23日、南インドのアンドラ・プラデーシュ州にあるプッタパルティという小さな村で、サティヤ・ナーラーヤナ・ラージュとして生まれました。貧しい家庭で育ちましたが、幼少期からその特別な才能が示唆されていたと言われています。

スピリチュアルリーダーとしての目覚め

1940年 5月23日、14歳の時に、自身がシルディ・サイ・ババの生まれ変わりであり、シヴァとシャクティの化身であると宣言しました。この時、彼は「サイ・ババ」と名乗り、人々の苦悩を取り除くために降臨したと述べました。「サイ」はペルシア語で「聖なる者」、「バーバー」はインド語圏で「父」を意味します。

活動の開始と奇跡

1940年10月20日に家を出て説法を始めると、病気を治すなどの奇跡が知られるようになり、その名声はインド全土に広まりました。1960年代末には、インド人やインド系民族を中心に世界中に信奉者を獲得。書籍や体験談を通じて、彼の教えが広まりました。

日本でのブーム

1990年代には、青山圭秀による著作をきっかけに、日本でもサイババが注目を集めました。林葉直子の失踪事件や、テレビ番組での紹介を通じて、その存在は広く知られ、一時的なブームを巻き起こしました。

社会貢献活動

1994年、サイ・ババは南インドで深刻な水不足に悩む人々のために、飲料水供給プロジェクト「恵みの水」を開始しました。このプロジェクトは、驚異的な速さで完成し、300万人以上の人々に恩恵をもたらしました。

批判と再評価

1990年代末から2000年代初頭にかけて、サイ・ババに対する批判が高まり、信奉者が減少しました。しかし、2001年以降、彼の社会奉仕活動が見直され、再び信奉者が増え始めました。

国際的な評価と活動

国連やユネスコとの連携、ノーベル賞関係者からの訪問など、サイ・ババの活動は国際的にも評価されました。世界各地で彼の教育法が推奨され、多くの人々に影響を与えました。

死と遺産

2011年3月下旬に体調を崩し入院、4月24日に心肺不全で亡くなりました。彼の葬儀は国葬として執り行われ、インドの首相や大統領、ダライ・ラマ14世などが参列しました。

家族

サイ・ババの家族構成は以下の通りです。

祖父：コンダマ・ラージュ (1840-1952)
父：ペッダ・ヴェーンカマ・ラージュ (1885-1963)
母：イーシュワランマ (1890-1972)
兄：シェーシャマ・ラージュ (1911-1985)
姉：ヴェーンカンマ (1918-1993)
姉：パールヴァタンマ (1920-1996)
弟：ジャーナキラーム (1931-2003)

活動

教育奉仕

サイ・ババは、教育の重要性を説き、数多くの教育機関を設立しました。

サティヤ・サイ・バール・ヴィカース・プログラム (1966年)
サティヤ・サイ大学アナンタプル校 (1968年)
サティヤ・サイ大学ヴリンダーヴァン校 (1969年)
イーシュワランマ女子高等学校 (1972年)
サティヤ・サイ小・中・高等学校 (1981年)
サティヤ・サイ大学プラシャーンティ・ニラヤム校 (1981年)
サティヤ・サイ・ミルプリ音楽カレッジ (2000年)
シュリ・サティヤ・サイ・ヴィッディヤー・ヴァーヒニー・プロジェクト (2010年)

社会奉仕

水道設備の供給、貧困者や孤児への援助、災害被災者の救助、高齢者への援助など、幅広い社会貢献活動を展開しました。

シュリ・サティヤ・サイ「恵みの水プロジェクト」(1995年)
シュリ・サティヤ・サイ・ディーナ・ジャノーダーハラナー・パタカム(2002年)
グジャラート地震被災者への救援活動 (2001年)
タミル・ナードゥ州津波被災者への救援活動 (2004年)
老人ホーム開設（カドゥゴーディ、バンガロール、アナンタプル）
イーシュワランマ女性福祉トラスト (2005年)

医療奉仕

無料の医療サービスを提供するために、総合病院と高度専門病院を設立しました。

プラシャーンティ・ニラヤムシュリ・サティヤ・サイ総合病院 (1956年)
プッタパルティシュリ・サティヤ・サイ高度専門病院 (1991年)
バンガロールシュリ・サティヤ・サイ高度専門病院 (2001年)

活動拠点

インド国内の主要な活動拠点は以下の通りです。

プラシャーンティ・ニラヤム (プッタパルティ)
サイ・シュルティ (コダイカナル)
ブリンダーヴァン (バンガロール郊外)
ダルマクシェートラ (ムンバイ)
シヴァム (ハイデラバード)
スンダラム (チェンナイ)

奇跡

サイ・ババは、物質化現象（ヴィブーティや指輪などの出現）、病気の治癒など、数多くの奇跡を起こすとされています。これらの奇跡は、信奉者にとって信仰の証ですが、批判者からは手品や詐欺であると指摘されています。

サイ・ババ自身の見解

サイ・ババ自身は、奇跡は人々に愛を確信させるための「名刺」であると述べています。また、物質化は、手品やスィッディ（超自然的な力）とは異なり、創造の行為であると主張しています。

批判

1990年代末から2000年代にかけて、サイ・ババに対する批判が高まりました。性的虐待疑惑、病院での臓器売買疑惑、手品疑惑などが主な批判点です。これらの批判は、ヨーロッパのメディアやインターネットを通じて広まりました。

ユネスコの対応

批判報道を受け、ユネスコはサイ・ババの教育団体との共催会議を撤回しましたが、後に謝罪しました。

インドの反応

インドでは、サイ・ババを擁護する声が多く、著名人や政府関係者から支持表明がありました。

アラヤ・ラームの訴訟

性的虐待を主張したアラヤ・ラームによる訴訟は、証拠不十分として訴訟が取り下げられました。

サイ・ババの教え

サイ・ババの教えは、愛と神を中心としており、人類の兄弟愛とすべての存在に神が内在するという思想を説いています。

主な教え

カーストはただ1つ、それは人類というカースト。
宗教はただ1つ、それは愛という宗教。
言語はただ1つ、それはハートという言語。
神はただ1つ、そして、神は遍在。
すべての人を愛し、すべての人に奉仕する（Love All Serve All）。
常に助け、決して傷つけない（Help Ever Hurt Never）。

著書

サイ・ババは、数多くの著書や講話集を残しました。これらの書籍は、彼の教えを学ぶための重要な資料となっています（一部抜粋）。

『全訳バーガヴァタヴァーヒニーバーガヴァタ・プラーナの神髄』
『ギーターヴァーヒニーバガヴァッド・ギーターの神髄』
『愛の流れ　プレーマヴァーヒニー』
『光を照らす知識の流れ　ヴィッディヤーヴァーヒニー』
『坐禅の源流　ディヤーナヴァーヒニー』
『ラーマ物語　ラーマカターラサヴァーヒニー』
『ブラフマスートラの神髄スートラヴァーヒニー』
『神問神答プラシュノーッタラ・ヴァーヒニ』
『ヴェーダ　リーラー・カイヴァリャ・ヴァーヒニ』
『サティア・サイ・バヒニ』

脚注

省略

参考文献

省略

外部リンク

サティヤ・サイ・インターナショナル・オーガニゼーション（SSIO）
サティヤ・サイ・インターナショナル・オーガニゼーション・ジャパン（SSIOJ）
シュリ・サティヤ・サイ・セントラル・トラスト（SSSCT）
サティヤ・サイ・ブックス・アンド・パブリケーション・トラスト（SSSBPT）
* サイババとはどういう存在か

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