サムドゥプツェ区

サムドゥプツェ区：チベットの歴史と文化が息づく地

サムドゥプツェ区は、チベット自治区シガツェ市に位置する市轄区であり、ツァン地方における宗教、政治、経済、文化の中心地として重要な役割を担っています。この地は、チベット仏教において第二の指導者であるパンチェン・ラマが代々住まい、その影響力は計り知れません。

地理

サムドゥプツェ区は、ヒマラヤ山脈の北麓、ヤルンツァンポ川とニャンチュ川の合流地点に位置しています。海抜3840mという高地にあり、中国で最も標高の高い都市の一つです。年間平均気温は6℃、降水量は420mmと、厳しい自然環境下にあります。住民はチベット族が多数を占め、農業はハダカムギやコムギの栽培、ヤクの放牧が主な産業です。また、手工業も比較的発達しています。ギャンツェとは隣接しており、互いに影響し合いながら歴史を刻んできました。

歴史

8世紀、インドの高僧パドマサンババがこの地を訪れた際、その美しい自然に感銘を受け、ラサに次ぐ都市になると予言したと伝えられています。1349年には、パクモドゥパの大司徒チャンチュプ・ギェルツェンによって都市が建設され、「至高の如意成就荘園」を意味する「シーガ・サムトゥン・ドゥッペー・ツェモ」と名付けられました。現在の「シガツェ」という名称は、その略称です。16世紀にはニャクパ政権の拠点となり、大きく発展しました。1642年には、ゲルク派の信者であるグシ・ハンによって陥落し、王宮は破壊されましたが、その後もタシルンポ寺の門前町として繁栄を続けました。現在はシガツェ市の地方行政機構が置かれています。

沿革

1955年-1959年：チベット動乱
1959年：人民解放軍がチベット全域を掌握
1960年：シガツェ県を設置
1986年：国務院により国家歴史文化名城に指定、同時に県から市へ移行
2014年：サムドゥプツェ区に改称

行政区画

現在、サムドゥプツェ区は以下の行政区画を有しています。

街道

城東街道
城西街道
城南街道
城北街道

郷

曲布雄郷
曲美郷
聶日雄郷
甲措雄郷
納爾郷
東嘎郷
辺雄郷
江当郷
年木郷
* 聯郷

文化と観光

サムドゥプツェ区は、パンチェン・ラマの居住地として知られ、チベット仏教における重要な場所です。特に、タシルンポ寺は、パンチェン・ラマが座主を務めるゲルク派の四大僧院の一つであり、広大な宗教的、政治的機能を担っています。街の東南に位置するシャル寺は、美しい壁画が多く残るラマ教ゲルク派の起源の地であり、11世紀に建設されました。その他にも、ナルタン寺、俄爾寺、安貢寺など、歴史ある寺院や住居が数多く残されており、訪れる人々に深い感動を与えます。

国家歴史文化名城：シガツェ

全国重点文物保護単位：タシルンポ寺、シャル寺

交通

航空：シガツェ平和空港

鉄道：中国鉄路総公司、ラサ・シガツェ鉄道、シガツェ駅

道路：G318国道がラサからシガツェを経由し、ネパール国境のダムまで延びています。

サムドゥプツェ区は、その歴史的、文化的価値の高さから、世界中から多くの人々が訪れる魅力的な場所です。古くからチベット仏教の中心地として栄え、その精神は今もなお、この地に息づいています。

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