サレルノ県

サレルノ県 (Provincia di Salerno)

イタリア共和国カンパニア州の南部に位置するサレルノ県は、その県都をサレルノ市に置く県です。県の西側は、美しいティレニア海に広がるサレルノ湾に面しており、風光明媚な海岸線が続いています。

地理

サレルノ県はカンパニア州の南端に位置し、地理的に多様な特徴を持っています。北にはアヴェッリーノ県、北西にはナポリ県が隣接し、東側ではバジリカータ州のポテンツァ県と境界を接しています。県都サレルノは、州都ナポリから南東へおよそ46キロメートル、遠くイタリアの首都ローマからは南東へ約236キロメートルの距離にあり、広範な地域からのアクセスが可能です。

県内には、中部から南部にかけて広がる「チレント地方」や、県の北西部に位置する「アマルフィ海岸」といった特徴的な地域があります。チレント地方は豊かな自然景観で知られ、アマルフィ海岸は断崖絶壁に沿ってアマルフィなどの魅力的な町が点在する、世界的に有名な景勝地です。

主要都市

サレルノ県は、合わせて158の基礎自治体であるコムーネで構成されています。これらの自治体の中で、特に人口が多い中心的な都市がいくつか存在します。2001年の国勢調査における居住地区別人口統計によれば、人口が3万人を超えているのは以下の都市です。

サレルノ（県都）：132,344人
バッティパーリア：47,537人
カーヴァ・デ・ティッレーニ：47,233人
スカファーティ：47,064人
ノチェーラ・インフェリオーレ：45,128人
パガーニ：30,184人

これらの都市は、それぞれの地域における経済や文化の中心的な役割を果たしています。

文化と観光

サレルノ県は、その類まれな自然美と歴史的な価値から、二つの主要な地域がユネスコの世界遺産リストに登録されています。

チレントおよびヴァッロ・ディ・ディアーノ国立公園：この広大な地域には、古代ギリシャの植民地として栄えたパエストゥムとヴェーリアの重要な考古遺跡群が含まれています。また、イタリア最大級の修道院の一つであるパドゥーラのカルトゥジオ修道院もこの地域にあり、古代から中世にかけての歴史を今に伝えています。
アマルフィ海岸：その絶景で世界的に知られるアマルフィ海岸は、地中海の青い海と切り立った崖、そして色とりどりの家々が織りなす独特の景観が魅力です。この海岸線には、美しい港町や小さな集落が点在しており、多くの人々を魅了しています。

行政

サレルノ県は、合計158のコムーネ（基礎自治体）によって構成されています。これらのコムーネが、地域の行政サービスや住民生活の基盤を支える役割を担っています。

交通

県内の交通網は比較的整備されており、主要な移動手段を提供しています。道路網としては、イタリアの主要都市を結ぶアウトストラーダ（高速道路）A3やA30、および連絡道路RA2が利用可能です。また、ティレニア海沿岸を通る国道SS18や、アマルフィ海岸沿いの景観道路として有名なSS163など、重要な国道も複数存在します。鉄道に関しては、県都サレルノを中心とした都市鉄道が運行しており、地域内の主要駅を結んでいます。空路については、県南部のベッリッツィ近郊に、サレルノ・コスタ・ダマルフィ空港（ポンテカニャーノ空港としても知られる）があります。

スポーツ

サレルノ県ではサッカーが盛んで、プロサッカークラブも活動しています。ノチェーラ・インフェリオーレに本拠地を置くASGノチェリーナや、県都サレルノを本拠地とするサレルニターナ・カルチョ1919が、県を代表するプロクラブとして知られています。

人物

サレルノ県は、歴史上重要な役割を果たした人物や、現代社会で活躍する人物を輩出しています。例えば、11世紀にサレルノ医学校で活躍したとされる女性医師トロトゥーラは、中世ヨーロッパにおける医学研究の歴史において著名な存在です。また、日本でタレントとして活動しているアダ・マウロ氏も、サレルノの出身です。

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