サレー

サレー（Surrey）

カナダ、ブリティッシュコロンビア州の南西岸に位置するサレー市は、広域行政区画であるメトロバンクーバーを構成する主要な都市の一つです。南部はアメリカ合衆国ワシントン州と国境を接しており、バンクーバー都市圏の一部を成しています。カナダ国内ではサリー、サーレー、スーリーといった表記が用いられることもあります。

バンクーバー中心部とはスカイトレインや高速道路で緊密に結ばれており、多くの人々がバンクーバーへ通勤・通学する住宅都市、いわゆるベッドタウンとして発展。市内にはフリートウッド、ウォーリー・シティセンター、ギルフォード、ニュートン、クローバーデール、サウス・サレーという6つの市街地（タウンセンター）が存在します。バンクーバー近郊の衛星都市として、サレーは近年著しい人口増加を経験しており、その変化を象徴するように多くの高層コンドミニアムが建設されています。

地理と環境

サレー市の北西部は雄大なフレーザー川が自然の境界となり、対岸のニューウエストミンスター市やコキットラム市とは橋梁やスカイトレインといったインフラで繋がっています。一方、サレー市の南部はそのままカナダとアメリカ合衆国の国際国境となっており、ダグラス・ピースアーチ（主に一般車両向け）やパシフィック・ハイウェイ（主に貨物車両向け）などの主要な国境検問所が設けられています。

サレー市は「公園の町」という愛称でも知られています。この名の通り、市内には22平方キロメートルにも及ぶ広大な600を超える公園が点在し、さらに15のゴルフコースが広がるなど、緑豊かな景観が保たれています。多数のスポーツ施設も整備され、年間を通じて様々なスポーツイベントが開催されています。また、市の面積のおよそ35%は農用地として指定され、法的に開発が制限されています。このため、都市部や商業エリアのすぐ隣に、突然として広大な森林や農地が広がるユニークな光景を目にすることができます。

人口構成と多様性

サレー市の人口は近年急速に増加しています。2016年の国勢調査では51万7,887人が記録され、ブリティッシュコロンビア州内ではバンクーバー市に次いで2番目に人口が多く、カナダ全体でも12番目の規模を誇ります。人口増加率は過去にも高く、1996年から2006年の10年間で約10万人が増加するなど、持続的な成長が見られます。

サレー市の大きな特徴は、その多様な民族構成です。最も多数を占めるのはヨーロッパ系（38.7%）ですが、少数民族グループの中では南アジア系が突出しており、2016年時点で全体の32.4%に達しています。特にパンジャーブ地方出身者が多数を占め、トロント近郊のブランプトン市と並ぶ北米有数の南アジア系コミュニティを形成。これに中国系（7.7%）、フィリピン系（6.2%）が続き、日系は0.6%と少数派です。このような背景から、サレー市では英語を母語とする住民は半数以下にとどまり、パンジャーブ語を日常的に使用する住民が20.48%に達するなど、多言語・多文化が共存する社会が形成されています。

宗教と文化

住民の信仰も多様で、2001年の統計ではシク教が19.2%で最も多く、カトリック（16.2%）、プロテスタント（11.0%）がそれに続きます。市内にシク教徒が多いことを反映し、パンジャーブ地方発祥のスポーツ、カバディの専用スタジアムが存在するなど、コミュニティの文化が根付いています。

教育機関

サレー市はブリティッシュコロンビア州内で最大の教育委員会を擁し、その管轄下には100校の小学校と21校の中学校があります。高等教育機関としては、クワントレン工科大学の本部が置かれているほか、カナダ有数の総合大学であるサイモンフレーザー大学のサレーキャンパスも存在します。

交通システム

サレー市の交通インフラは効率的に整備されています。特に道路網は1平方マイルごとの格子状で、東西・南北に規則的な番号が振られ（例: 0 Avenue - 117A Avenue, 120 Street - 196 Street）、住所表示とも関連付けられています。主要な道路には8の倍数が使われるなど、番号と重要度が関連付けられています。

高速道路は、カナダを横断するトランスカナダハイウェイ1号線、南フレーザー外郭道路として機能するBC州道17号線、そしてバンクーバーとアメリカ国境を結ぶ主要ルートであるBC州道99号線が市内を通過します。また、BC州道10号線、BC州道15号線、キングジョージ大通り、フレイザー幹線道路といった主要な幹線道路も市民生活を支えています。

鉄道の中心はスカイトレインのエキスポラインで、スコットロード駅、ゲートウェイ駅、サレーセントラル駅、そして終点であるキングジョージ駅の4駅が市内を縦断。バンクーバー中心部への主要な公共交通手段となっています。現在、エキスポラインを東へラングリーまで延伸する計画が進行しており、2025年の開業が予定されています。かつて計画されたLRT（軽量軌道交通）は無期延期や計画中止となり、代わりにエキスポライン延伸が進められるという経緯を辿りました。貨物輸送については、カナダ太平洋鉄道、カナディアン・ナショナル鉄道、BNSF鉄道、SRY Rail Linkといった複数の鉄道会社が貨物線を運行しています。

バスは、スカイトレイン駅から離れた広範なエリアでの移動を補完する主要な手段です。特に市北部の主要エリアでは、連接バスやバスレーンを活用したBRT（バス高速輸送システム、ラピッドバス）が高頻度運行されており、R1 キングジョージ大通り線やR6 スコットロード線などが運行されています。市南部の路線は、高速道路を経由してリッチモンド市内にあるカナダラインの駅へ向かう急行バスが多い傾向にあります。これらのバス路線は均一料金制で、90分以内の乗り継ぎが可能です。

国際交流

サレー市は国際的な友好関係も築いており、日本の東京都江東区（1989年4月20日）と中国の広東省珠海市とは姉妹都市提携を結んでいます。

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