サンカクイ

サンカクイ（三角藺）について

サンカクイ（学名: Schoenoplectus triqueter）は、カヤツリグサ科に分類される単子葉植物です。かつては Scirpus triqueter という学名で知られていました。この植物は、その名の通り、茎の断面が三角形であることから「三角藺」と名付けられました。イグサに似た姿を持ちますが、イグサとは異なる植物です。

特徴

サンカクイの最も顕著な特徴は、茎の断面が三角形であることです。この茎は深緑色でつやがあり、やや硬い質感を持っています。草丈は1メートル程度まで成長し、湿地や浅い池などの水辺に大きな群落を形成します。

地下茎は水中の泥の中で横に這うように伸び、そこからまばらに花茎を上へ伸ばします。花茎の基部には、数センチ程度の短い葉身を持つ鞘があり、花茎の下部に小さな葉がついているように見えます。花茎には節がなく、根元から先端まで滑らかです。

秋になると、花茎の先端から花序が現れます。花序のすぐ下には苞があり、これが花茎の延長のように発達し、先端が尖っています。そのため、花序は茎の先端よりもやや下から横に伸びているように見えます。小穂は楕円形から卵形で、長さ約3センチメートル程度、茶褐色で光沢があります。小穂は数個がまとまってつき、一部には短い柄があります。小穂の鱗片は螺旋状に配置されています。果実は成熟すると倒卵形になります。

生育環境と分布

サンカクイは湿地や浅い池などの水辺に生育します。特に、やや浅い場所で一面に繁殖し、まばらな群落を形成することが多いです。分布域は広く、日本では北海道から琉球列島まで見られ、国外では中国、インドネシア、インド、ヨーロッパにまで分布しています。

類似種との比較

サンカクイとよく似た植物として、以下の2種が挙げられます。

カンガレイ (Schoenoplectus triangulatus)

カンガレイは、サンカクイと最もよく似ている種です。花茎の形状や大きさはほぼ同じですが、いくつかの点で区別できます。

• - 地下茎: カンガレイは地下茎が横に這わず、密な株立ちになります。
• - 葉身: 花茎の基部の鞘に葉身がなく、花茎のみの束となります。
• - 小穂: カンガレイの小穂は完全にかたまってつき、短い柄が出ることはありません。

これらの特徴により、カンガレイとサンカクイは容易に見分けることができます。カンガレイもサンカクイと同様に広い分布域を持ちますが、ヨーロッパには分布していません。池や湿地に小規模な群落を形成します。

シズイ (Schoenoplectus nipponicus)

シズイは、北海道から九州の浅い池などに生育するやや珍しい植物です。サンカクイに似ていますが、全体的に柔らかい印象で、葉も数枚発達します。花茎先端の苞が花茎の延長となる点はサンカクイと共通しますが、さらに別の苞を持つ場合もあります。

まとめ

サンカクイは、特徴的な三角形の茎を持つカヤツリグサ科の植物であり、湿地や浅い池などの水辺に生育します。その姿はイグサに似ていますが、詳細な観察を行うことで、カンガレイやシズイなどの類似種との区別も可能です。これらの特徴を理解することで、自然観察がより一層楽しくなるでしょう。

参考文献

• - 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物　草本I 単子葉植物』(1982)平凡社
• - 北村四郎・村田源・小山鐵夫『原色日本植物図鑑 草本編(III)・単子葉類（改定49刷）』(1987)：保育社

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