サンカローク窯

サンカローク窯：古代タイの陶器生産の中心地

サンカローク窯（サンカロークよう、タオ・サンカローク、Tao Sangkhalok）は、タイ北部スコータイ県シーサッチャナーライに位置する、古代の陶器生産を担った大規模な窯跡群です。この地域には、パ・ヤーン窯跡群やコ・ノーイ窯跡群も含まれ、これらの窯跡群は合わせてサンカローク窯として知られています。この窯跡群は、タイ国内でも最古の陶器生産地の一つと考えられており、その歴史的・文化的価値は非常に高いです。

名称の由来と広がり

サンカローク焼は、日本でも桃山時代から「宋胡禄（すんころく）」焼として広く知られ、タイ産の陶磁器の総称としても使われるようになりました。「サンカローク」という名称は、窯が位置するシーサッチャナーライの旧名、または周辺の地名であるサワンカローク（スワンカローク）から転訛したとされています。また、この名称は「サン（宋）」と「コローク（窯）」という説もあります。トゥリアン窯と呼ばれる窯跡は、ドリアンに似た形状から名付けられました。

位置と周辺環境

サンカローク窯の遺跡は、スコータイ王朝の副都であったシーサッチャナーライ旧市街から北西に約1.5キロメートルから6.5キロメートル離れた、ヨム川西岸に沿って広がっています。シーサッチャナーライ歴史公園の北側に位置し、当時の陶器生産の中心地であったことが伺えます。

概要と特徴

シーサッチャナーライの旧市街の近くに点在するパ・ヤーン村やコ・ノーイ村では、約1.5平方キロメートルの範囲に200基以上の窯跡が確認されています。これらの窯は、13世紀以降、スコータイ陶器が生産された場所であり、タイ国内で最古の窯跡とされています。アデレード大学の研究では、シーサッチャナーライの陶磁器がスコータイ王朝以前に生産されていた可能性が指摘されており、従来の中国（宋）からの影響という見解に異議を唱えています。

サンカローク窯は、レンガを積み上げた平窯（丸窯）で、長さ7～10メートル程度のヴォールト（楕円）状に作られました。ここで見つかる陶器は、皿や茶碗が多く、スコータイのものとよく似ています。特徴的なのは青磁で、白い陶土に透明な青や緑の釉薬がかけられています。また、黒褐釉で覆われたものや、釉薬を使用しないものも確認されており、多様な技術が用いられていたことがわかります。模様は、伝統的な鉄絵で黒く描かれています。

研究と保存

1987年には、コ・ノーイに「サンカローク窯跡・研究・保存センター」が設置され、重要な42番窯跡を保護し、周辺の窯跡保存や出土品の展示が行われています。また、コ・ノーイの重要な61番窯跡には、「サンカローク焼博物館61番窯」が設けられ、当時の陶器生産技術や文化を学ぶことができます。


サンカローク窯は、古代タイの陶器生産技術を伝える貴重な遺産であり、その歴史的・文化的価値は非常に高いです。この地で生み出された陶器は、タイの歴史だけでなく、東南アジア全体の文化交流を考える上で重要な役割を果たしています。

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