サンクトペテルブルク・フィルハーモニア

サンクトペテルブルク・フィルハーモニアとは

サンクトペテルブルク・フィルハーモニアは、ロシア北部の美しい都市サンクトペテルブルクに位置する、歴史ある音楽協会であり、その活動拠点となる建物の名称でもあります。正式にはロシア語でСанкт-Петербургская филармония、英語ではSaint Peterburg Philharmoniaと呼ばれます。この施設は、ロシアにおけるクラシック音楽の中心地の一つとして知られ、年間を通じて数多くのコンサートが開催されています。

フィルハーモニアの傘下には、サンクトペテルブルクを代表する二つの主要な交響楽団、すなわちサンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団とサンクトペテルブルク交響楽団があり、これらのオーケストラがここを恒常的な本拠地として活動しています。

沿革

サンクトペテルブルク・フィルハーモニアの歴史は、帝政ロシア時代の1802年に音楽協会として設立されたことに遡ります。以来、同協会はサンクトペテルブルクの音楽文化振興に貢献してきました。

現在、フィルハーモニアの本拠地となっている壮麗な建物は、1839年に完成しました。この建物は、建築家P. Jacotが主要な設計を担当し、建物の側面デザインにはC. Rossiが携わったと伝えられています。完成以来、この歴史的建造物は、数々の名演奏が繰り広げられる舞台として、ロシア音楽史において重要な役割を果たし続けています。

場所と建物

サンクトペテルブルク・フィルハーモニアは、市街地の中心部、活気あふれるネフスキー大通りから分岐するミハイロフスカヤ通り沿いの素晴らしい立地にあります。建物の主要な入口は、優雅なミハイロフスキー宮殿やロシア美術館に囲まれた美しい文化広場（ミハイロフスキー・スクエアとも呼ばれる）に面しており、周辺の歴史的な景観と見事に調和しています。建物の外観は、19世紀初頭に遡るネオクラシック様式のエレガントな雰囲気を持ち、訪れる人々を音楽の世界へと誘います。

ボリショイ・ザール（大ホール）

フィルハーモニアの建物内にある最も重要な空間が、「ボリショイ・ザール」と呼ばれる大ホールです。ロシア語で「大きなホール」を意味するこのホールは、およそ1500人の観客を収容できます。その広々とした空間と長い歴史により、ボリショイ・ザールはロシア国内で非常に知名度の高いコンサートホールとして認識されています。

長年にわたり数多くの伝説的な音楽家やオーケストラがここで演奏を行ってきましたが、現代の音響技術や基準に照らし合わせると、ホールの音響効果については、最良の状態ではないという専門的な評価も存在します。しかし、その歴史的な雰囲気の中で音楽を体験できるという価値は、他の追随を許さないものです。

傘下オーケストラの活動拠点として

サンクトペテルブルク・フィルハーモニアは、その名前を冠するサンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団と、サンクトペテルブルク交響楽団という二つの著名なオーケストラの活動基盤となっています。これらのオーケストラは、国内外で高い評価を得ており、ボリショイ・ザールを中心に年間を通じて多彩なプログラムのコンサートを開催し、サンクトペテルブルクの音楽シーンを豊かにしています。フィルハーモニアは、これらのオーケストラの芸術活動を支える不可欠な存在です。

興味深い習慣

サンクトペテルブルクの主要な音楽ホール、特にボリショイ・ザールでの演奏会には、一つの興味深い文化的な習慣があります。それは、演奏会のアンコールの最後に、しばしばレインゴリト・グリエール作曲の「偉大な都市に捧げる賛歌」が演奏されることです。この曲が演奏される際には、多くの聴衆が自発的に起立し、サンクトペテルブルクという都市と、そこで育まれた音楽文化に対する敬意と愛情を示します。これは、地元の人々にとって大切な伝統であり、訪れる観客にも感動を与える光景です。

まとめ

サンクトペテルブルク・フィルハーモニアは、単なるコンサート会場としてだけでなく、ロシアの豊かな音楽史と文化を体現する重要な施設です。その歴史的な建物、優れたホール、そして二つの世界的なオーケストラの存在を通じて、サンクトペテルブルクの音楽生活の中心であり続けています。この場所で奏でられる音楽は、訪れる人々に忘れられない感動と体験を提供しています。

サンクトペテルブルク・フィルハーモニア