サンチョ7世 (ナバラ王)

サンチョ7世：剛勇王と呼ばれたナバラ王

サンチョ7世（1154年 - 1234年）は、12世紀後半から13世紀前半にかけてナバラ王国を統治した王であり、「剛勇王」として知られています。彼は、ナバラ王国の最初の王家であるヒメノ家の男系最後の王でもありました。

生涯

サンチョ7世は、即位前にイングランド王リチャード1世（獅子心王）と親交がありました。妹のベレンガリアがリチャード1世と結婚するきっかけとなった馬上槍試合を主催したという説もあります。1192年、リチャード1世が十字軍遠征中にアキテーヌで反乱が起きた際には、サンチョ7世は騎士団を率いて鎮圧に駆けつけました。

1194年に父の跡を継いで王位に就くと、カスティーリャ王アルフォンソ8世がムワッヒド朝に敗れたのを見て、レオン国王アルフォンソ9世と共謀してカスティーリャを挟撃しようとしました。しかし、アラゴン国王ペドロ2世の介入や、アルフォンソ9世が破門されたことで、この試みは失敗に終わりました。

1198年、今度はナバラがカスティーリャとアラゴンの侵攻を受け、1200年にはアラバ、ギプスコア、ビスカヤを奪われました。これにより、ナバラは大西洋への出口を失い、内陸国となりました。

1212年、サンチョ7世はナバス・デ・トロサの戦いに参加し、ムワッヒド朝の軍勢を破るという大功を挙げました。この戦いでの勝利は、レコンキスタの進展に大きく貢献しました。戦後、アルフォンソ8世から国境の城をいくつか与えられ、莫大な戦利品を得てナバラは富裕になりました。

しかし、サンチョ7世は肥満と健康問題に悩まされ、晩年はトゥデラの山城に隠棲しました。1234年に80歳で亡くなり、ロンセスバーリェスに埋葬されました。彼の墓には、ナバス・デ・トロサの戦いで得た戦利品の鎖の一部が展示されています。

後継者問題

サンチョ7世には正室コンスタンスとの間に子供がおらず、妹たちも既に亡くなっていたため、後継者問題が発生しました。彼は当初、アラゴン王ハイメ1世を後継者に指名しましたが、ナバラの貴族たちはシャンパーニュ伯テオバルド1世を王として迎えました。

サンチョ7世の治世は、ナバラ王国にとって激動の時代でした。彼は軍事的な才能を発揮し、レコンキスタに貢献しましたが、領土を失い、後継者問題を残すなど、多くの課題に直面しました。しかし、彼の「剛勇王」としての勇名は、後世に語り継がれています。

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