サン・マルタン (西インド諸島)

サン・マルタン

サン・マルタンは、カリブ海に浮かぶリーワード諸島に位置し、セント・マーチン島の北部にあたるフランスの海外準県です。島は南と北で分かれており、南側はオランダ領のシント・マールテンです。1970年代から観光業が発展し、クリアブルーの海と美しいビーチが観光客を惹きつけています。

地理

サン・マルタンの地形は多数の丘と入江からなり、自然豊かな環境が広がります。特に島の中央にあるピク・パラディ（424m）は最高峰で、観光名所の一つとなっています。また、域内には14の池や海草藻場、サンゴ礁、マングローブ、ラグーンが点在し、豊かな生態系を形成しています。フランス領側では85種の鳥類やウミガメが生息しており、2011年にはラムサール条約に登録されました。

サン・マルタンの気候は海洋性のため温暖で、年間降水量は約1500mmです。特に7月から11月の間はハリケーンシーズンで注意が必要です。

首都マリゴは西部に位置し、住宅地が海沿いに広がっています。グラン＝カーズ、コロンビエ、カルティエ＝ドルレアンなどの地区が特徴的です。

歴史

サン・マルタン島は1493年にコロンブスによって「発見」されましたが、初めは植民地としての価値が低く、フランスとオランダが後に注目することになります。1630年にはオランダ人とフランス人が来島し、1633年には一時スペインの支配下に置かれました。しかし、スペインが拠点経営に興味を失ったため、再び争奪の対象となりました。

1648年、フランスとオランダはコンコルディア条約を結び、島を二分することに合意しました。これによりパリ条約が結ばれ、1815年に現在の境界線が成立しました。奴隷制度は1848年にフランス領側で廃止され、観光産業が台頭するようになったのは20世紀以降のことです。

政治と経済

サン・マルタンはEUの外部地域に位置しており、法定通貨はユーロです。人口は約33,102人で、多くはアフリカ系黒人で構成されています。公用語はフランス語ですが、クレオール語も広く話されています。サン・マルタンの経済は大きく観光産業と金融業に依存しており、特に観光は重要な収入源です。

交通

島内の移動は便利で、オランダ領側との往来もスムーズです。マリゴ港は良港として多くの船が行き交い、海洋リゾートやヨットハーバーも整備されています。グランカーズにある小規模な空港は、カリブ海地域のフランス領と直結しており、またオランダ領側にはプリンセス・ジュリアナ国際空港も存在し、多くの国際便が運航しています。

サン・マルタンはその美しい自然環境と歴史的背景から多くの人々に親しまれている地域です。観光、文化、歴史が融合するこの地を訪れることは、忘れがたい体験となることでしょう。

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