セント・マーチン島

カリブ海の宝石、セント・マーチン島：フランスとオランダが織りなす楽園

セント・マーチン島は、カリブ海のリーワード諸島に位置する、他に類を見ない魅力的な島です。この島は、北側がフランス領サン・マルタン、南側がオランダ領シント・マールテンという2つの異なる国によって分割統治されているという、世界でも珍しい特徴を持っています。フランス語ではサン・マルタン、オランダ語ではシント・マールテンと呼ばれ、それぞれの文化が息づいています。

地理

セント・マーチン島は、アンギラ海峡を隔ててアンギラ島、東南にはサン・バルテルミー島が位置し、南にはサバ島やシント・ユースタティウス島が浮かんでいます。島の面積は88平方キロメートルで、フランス領側が約54平方キロメートル、オランダ領側が約34平方キロメートルと、おおむね4:3の割合で分割されています。フランス領の首府はマリゴ、オランダ領の首府はフィリップスブルフです。起伏に富んだ地形と多くの入り江、そして美しい砂州と潟湖が特徴的で、中央部には島の最高峰であるピク・パラディ（424m）がそびえています。

気候

セント・マーチン島は、温暖な海洋性熱帯気候に属し、北東貿易風の影響を受けています。年間降水量は約1500mmで、7月から11月にかけてはハリケーン・シーズンとなります。過去には、1960年のハリケーン「ドンナ」や1995年のハリケーン「ルイス」など、甚大な被害をもたらしたハリケーンも発生しています。

歴史

セント・マーチン島には、もともとカリブ族とアラワク族が暮らしていました。1493年、コロンブスが第2回航海でこの島を発見し、聖マルティヌスの日にちなんでサン・マルティン島と名付けました。その後、17世紀に入ると、フランスとオランダがこの島に着目し、植民を開始しました。1648年、フランスとオランダはコンコルディア条約を結び、島を分割することで合意しました。その後、イギリスも島の支配を巡って争いに加わり、1815年のパリ条約によって現在の分割状態が確定しました。

経済

セント・マーチン島の主要な産業は観光業です。年間200万人以上の観光客が訪れ、美しいビーチ、免税ショッピング、そしてフランスとオランダの文化が融合した独特の雰囲気を楽しんでいます。フランス領側の一人当たり所得はカリブ海地域で最高水準であり、オランダ領側も旧オランダ領アンティルの中では最高水準となっています。

住民

セント・マーチン島には、アフリカ系黒人をはじめ、クレオールや白人など、多様な民族が暮らしています。宗教はキリスト教が主です。公用語は、フランス領側がフランス語、オランダ領側がオランダ語ですが、英語も広く使われています。

交通

セント・マーチン島には、プリンセス・ジュリアナ国際空港とグランカーズ・エスペランサ飛行場の2つの空港があります。プリンセス・ジュリアナ国際空港は、大型ジェット旅客機も発着できるカリブ海地域有数の規模を誇る空港で、着陸時にビーチ上空を低空で通過する飛行機は、観光名物となっています。

セント・マーチン島は、そのユニークな歴史、美しい自然、そして多様な文化が融合した、カリブ海の中でも特別な魅力を持つ島です。一度訪れたら忘れられない、楽園のような場所です。

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