サン＝テグジュペリ (宝塚歌劇)

宝塚歌劇ミュージカル『サン＝テグジュペリ』

2012年に宝塚歌劇団花組によって上演されたミュージカル『サン＝テグジュペリ』は、アントワーヌ・ド・サン＝テグジュペリの生涯を題材にした作品です。副題には「－『星の王子さま』になった操縦士（パイロット）－」とあり、彼の人生と作品世界が融合したファンタジックな舞台となっています。

作品概要

形式名は「ミュージカル・ファンタジー」、全18場。作・演出は谷正純が手掛けました。初演では、花組トップスターであった蘭寿とむがサン＝テグジュペリ（愛称：サン＝テックス）を演じ、その繊細な演技と歌唱で観客を魅了しました。上演時間は約1時間35分です。

あらすじ

厳格なフランス貴族の家に生まれたサン＝テグジュペリは、操縦士（パイロット）として空を飛び、同時に作家としても活動しました。物語は、彼の妻であるコンスエロとの愛情を軸に展開します。コンスエロは中米マヤ族の血を引く情熱的な女性であり、彼女との愛はサン＝テグジュペリの人生において重要な要素でした。

劇中では、サン＝テグジュペリの心象風景である「星の王子さま」の世界がファンタジックに描かれ、純粋な心の美しさが表現されています。彼の人生と作品世界が交錯する中で、愛と冒険、そして人間の本質が問いかけられます。

上演記録

花組公演として、2012年7月27日から8月27日まで宝塚大劇場で、同年9月14日から10月14日まで東京宝塚劇場で上演されました。各公演では新人公演も行われ、若手スターたちが主要な役柄に挑戦しました。

本公演と併演されたのは、ラテン・パッショネイト『CONGA!!』。こちらは藤井大介が作・演出を手掛け、情熱的なラテン音楽とダンスで観客を魅了しました。

主な配役

本公演では、以下のキャストが主要な役を演じました。

サン＝テックス（サン＝テグジュペリ）：蘭寿とむ（新人公演：芹香斗亜）
コンスエロ：蘭乃はな（新人公演：春妃うらら）
ギヨメ：壮一帆（新人公演：大河凜）
メルモーズ：愛音羽麗（新人公演：和海しょう）
その他、多数の出演者がサン＝テグジュペリの物語を彩りました。

また、『星の王子さま』の場面では、以下の配役で物語が展開しました。

星の王子さま：蘭寿とむ、蘭乃はな
バラ：蘭乃はな
きつね：壮一帆
地理学者：高翔みず希
酔っぱらい：悠真倫
うぬぼれ屋：愛音羽麗
王様：紫峰七海

場面構成

物語は以下の場面で構成されています。

プロローグ／星の王子さま
サンタムール／ベルリンからの訪問者
アルゼンチン／郵便飛行士
アルゼンチン／エルサルバドルの小さな火山
サンタムール／愛の伝説
モロッコ／女たちの戦い
リビア砂漠／不時着
星の王子さま／プチ・プリンス
モロッコ／ミ・アミーゴ
モロッコ／すれ違う二人
パリ／空の英雄
パリ／大戦勃発
サンタムール／別離の晩餐
ポルトガル／ミ・アミーゴ
ニューヨーク／ぼくの大切な花
シチリア島／戦う操縦士
サンタムール／サン=テックスを撃墜した男
エピローグ／小惑星B-612

スタッフ

この作品は、以下のスタッフによって制作されました。

作・演出：谷正純
作曲・編曲：吉崎憲治
編曲：脇田稔、水野久興
音楽指揮：伊澤一郎（宝塚）、西野淳（東京）
振付：尚すみれ、御織ゆみ乃
装置：新宮有紀
衣装：任田幾英
照明：勝柴次朗
音響：切江勝
小道具：西川昌希
演技指導：立ともみ
演出補：大野拓史
衣装補：川底美由紀
舞台進行：阪田健嗣

舞台美術製作は株式会社宝塚舞台、演奏は宝塚オーケストラ（宝塚）が担当しました。制作は斎藤雅央、制作・著作は宝塚歌劇団、主催は阪急電鉄株式会社です。

関連作品

劇中には、以下のサン＝テグジュペリの作品が使用・参考にされています。

夜間飛行
人間の土地
戦う操縦士
星の王子さま

参考資料

公演プログラム（宝塚大劇場・東京宝塚劇場）
小林公一監修『宝塚歌劇100年史 虹の橋 渡りつづけて（舞台編）』阪急コミュニケーションズ、2014年。

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