サン＝ディジエ＝ロバンソン空軍基地

サン＝ディジエ＝ロバンソン第113空軍基地は、フランス北東部、オート＝マルヌ県のサン＝ディジエ市に所在するフランス空軍の重要な飛行場です。

この地の航空活動は古く、1910年には既にフランス軍用機が着陸した記録があります。第一次世界大戦中の1913年には陸軍航空隊の飛行場として正式に開設され、その後の第二次世界大戦を含む20世紀の主要な紛争を通じて、軍事的な役割を果たしてきました。開設当初からブレリオ、モラーヌ・ソルニエといったフランス機や、スタンペ、デ・ハビランド タイガー・モス、ドボワチン D.520といった様々な機種が配備されていたことが記録されています。

特に第二次世界大戦中の1940年6月には、フランス侵攻によってナチス・ドイツ軍に占領されました。ドイツ空軍（ルフトヴァッフェ）の重要な拠点として利用され、英国本土航空戦（バトル・オブ・ブリテン）への出撃や、その後の連合軍による爆撃に備えた夜間戦闘機部隊が展開しました。しかし、アメリカ陸軍航空軍による度重なる爆撃や、P-51護衛戦闘機による掃討作戦によって、ドイツ軍の航空戦力は次第に削がれていきました。

フランス解放後、基地は甚大な被害を受けていましたが、アメリカ軍工兵隊によって迅速に修復作業が進められました。破壊された滑走路や駐機施設は応急的に整備され、大量の航空機残骸などが撤去されました。この修復期間中、多数のアメリカ軍部隊が一時的に展開しています。戦後、アメリカ軍は鹵獲したドイツのジェット戦闘機Me262を評価するための「ラスティ作戦」を実施した後、1945年5月に基地をフランス当局に返還しました。

冷戦の激化に伴うソビエト連邦の脅威に対抗するため、1950年代初頭には北大西洋条約機構（NATO）の枠組みで近代的空軍基地の建設が計画されましたが、これはフランス側の判断により最終的には実現しませんでした。しかし、フランス独自の再建は進められ、1956年には新しい滑走路や駐機エプロン、大規模な格納庫が整備され、近代的な空軍基地としての基盤が確立しました。1970年代後半には、NATOの基準に合わせた航空機分散用のシェルターなども新たに設けられています。

冷戦期には、1965年から1988年にかけて、フランスの核抑止力の中核を担うダッソー ミラージュIV戦略爆撃機を運用する部隊が配備され、その戦略的重要性はさらに高まりました。

今日のサン＝ディジエ基地は、フランス空軍、特に航空宇宙軍の主要な戦闘機基地の一つであり、NATOの前線基地としても機能しています。2011年に国連安全保障理事会決議を受けたリビア上空の飛行禁止空域設定に伴うフランス主導の「アルマッタン作戦」、その後のNATO主導の「ユニファイド・プロテクター作戦」では、所属機が重要な役割を果たしました。

2019年現在、この基地には航空宇宙軍の第4航空団が配備されています。第4航空団は3個飛行隊で構成され、そのうち第1飛行隊「ガスコーニュ」と第2飛行隊「ラ・ファイエット」はフランスの戦略核抑止任務を担っています。また、第3機種転換飛行隊「アキテーヌ」は、この基地で運用される全機種であるダッソー ラファール戦闘機のパイロット養成を担当しています。現代的なラファール戦闘機によって部隊保有機が統一されており、フランス空軍の作戦能力の維持・向上に貢献しています。

もう一度検索