サーチング (競走馬)

サーチング：ハンデキャップ女王の軌跡

サラブレッド競走馬として、そして繁殖牝馬として名を馳せたサーチング(1952-1973)。アメリカ競馬殿堂入りを果たしたその生涯は、決して順風満帆なものではありませんでした。ケンタッキー州クレイボーンファームで生まれた彼女は、アメリカ三冠馬ウォーアドミラルを父、ステークス勝ち馬ビッグハリーを母に持ち、恵まれた血統を受け継いでいました。しかし、154センチほどの小柄な体格と脆い蹄が、彼女の競走生活に影を落とします。

2歳時は13戦未勝利と苦戦が続きました。その後もなかなか勝ち星に恵まれず、デビューから20戦を経ても勝利のないまま、彼女の才能は埋もれているかに見えました。転機となったのは3歳時。新たな調教師ヒルシュ・ジェイコブスは、彼女の蹄の弱さに着目し、蹄と蹄鉄の間にフェルトを挟むという工夫をしました。この小さな変更が、サーチングの競走成績を劇的に変えます。

蹄の保護に成功したサーチングは、才能を開花させました。ヴェイグランシーハンデキャップやギャロレットステークスなど、数々のレースを制覇。3歳時は26戦12勝という素晴らしい成績を残し、一気にトップクラスの競走馬へと成長しました。その後も、コレクションハンデキャップやダイアナハンデキャップといった主要レースで勝利を重ね、牝馬戦線の中心選手として活躍しました。4歳時、5歳時と活躍を続け、合計で50勝以上もの勝利を収めました。しかし、大レースでの勝利とは無縁のままでした。

6歳時、右前肢の種子骨を骨折したことで、サーチングの競走生活は幕を閉じました。大レースでの優勝という華々しい結果こそ残せませんでしたが、彼女の才能と努力は、多くの人々の記憶に刻まれました。そして、1978年、アメリカ競馬名誉の殿堂博物館は、競走成績だけでなく、繁殖牝馬としての成功も評価し、サーチングを殿堂入り馬として選定しました。

繁殖牝馬としての成功

競走馬引退後、サーチングは繁殖牝馬として第二のキャリアを歩み始めます。その才能は、競走馬としての活躍をはるかに超えるものでした。8頭の産駒のうち7頭が勝ち上がり、その中にはアメリカ競馬殿堂入りを果たしたアフェクショネイトリーがいます。アフェクショネイトリーは最優秀2歳牝馬、最優秀短距離馬の称号を獲得するなど、母に劣らぬ活躍を見せました。さらに、サーチングの産駒たちは優れた繁殖牝馬としても活躍し、プリークネスステークス優勝馬やフランスで活躍した馬など、数々の名馬を生み出しました。

サーチングの半姉であるノーフィドリングも、優れた繁殖牝馬として知られています。彼女もまた、オグデン・フィップスにより生産され、8頭の産駒全てが勝ち上がりました。中でも、1967年の最優秀古牝馬ストレイトディールは、ノーフィドリングの代表産駒と言えるでしょう。

血統と家族

サーチングの母であるビッグハリーも、優れた繁殖能力を持っていました。12戦4勝という競走成績に加え、数々の名馬を産み出しました。サーチング、ノーフィドリングの他に、イージーゴアといった名馬もその子孫に含まれています。サーチングの血統背景、そしてその家族の歴史は、彼女自身の成功と密接に関係していると言えるでしょう。

サーチングの物語は、才能と努力、そして周囲の支えが、いかに大きな成功を生み出すかを示す好例と言えるでしょう。華々しい勝利ばかりが成功ではない、そのことを教えてくれる名牝の生涯でした。彼女がアメリカ競馬の歴史に刻んだ足跡は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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