サーティース・TS19

サーティースTS19：F1の歴史に名を刻んだマシン

サーティースTS19は、ジョン・サーティースとケン・シアーズによって設計され、1976年から1978年にかけてサーティースチームがF1世界選手権で使用したフォーミュラ1マシンです。このマシンは、数々のドラマチックなレースと、チームの浮沈を象徴する存在として、F1の歴史にその名を刻みました。

1976年シーズン：デュレックスとカンパリ、そしてラウダの事故

1976年シーズン、サーティースチームはオーストラリア人ドライバーのアラン・ジョーンズとブレット・ランガーを起用しました。 興味深いことに、チームはコンドームメーカーのデュレックスとスポンサー契約を結び、話題を呼びました。一方、ランガーのマシンはカンパリの支援を受けていました。

TS19は開発に遅れが生じ、ブラジルGPを欠場。南アフリカGPから投入されましたが、結果に恵まれませんでした。シーズンを通して、機械トラブルやアクシデントが相次ぎ、ポイント獲得は散発的でした。特に記憶に残るのは、ドイツGPでの事故です。ランガーはラウダのフェラーリと衝突、マシンは炎上。ラウダ救出には、エドワーズ、アートル、ランガー、そしてメルツァリオが協力しました。この事故は、F1における危険性を改めて浮き彫りにしました。シーズン全体では7ポイントを獲得し、コンストラクターズランキング10位という結果に終わりました。

1977年シーズン：ドライバー交代と低迷

1977年、サーティースチームはドライバーラインアップを一新。ハンス・ビンダーとヴィットリオ・ブランビラを起用しました。しかし、シーズンを通して機械的な信頼性の問題やアクシデントが頻発し、ポイント獲得は困難を極めました。ビンダーは途中でチームを離れ、その後ラリー・パーキンス、パトリック・タンベイ、ヴァーン・シュパンとドライバーが次々と入れ替わるなど、チームは不安定な状態が続きました。このシーズンも6ポイント獲得に終わり、コンストラクターズランキング11位と低迷しました。

1978年シーズン：TS20への移行とチームの終焉

1978年シーズン、サーティースチームはブランビラを留任させ、ルパート・キーガンを起用しました。しかし、TS19は信頼性問題を抱え続け、ほとんどポイントを獲得できませんでした。シーズン途中からは新型マシンTS20への移行が進められましたが、資金不足によりチームは1979年シーズンの参戦を断念、F1からの撤退を余儀なくされました。その後はオーロラシリーズで数戦参戦した後、チームは解散しました。

その他のチーム：TS19の遍歴

サーティースチーム以外にも、いくつかのチームがTS19を使用しました。チーム・ノーレフ・レーシングはアンリ・ペスカロロを起用し、1976年シーズンに参戦。メルチェスター・レーシングはトニー・トリマーを起用し、1977年イギリスGPに出場しましたが、予備予選で敗退しました。これらのチームもTS19の信頼性問題に苦戦し、目立った成績を残すことができませんでした。

まとめ：TS19が残した足跡

サーティースTS19は、決して成功したマシンとは言えませんでした。しかし、その開発、運用、そしてレースでの活躍（あるいは不振）は、サーティースチームの歴史、そしてF1の激動の時代を象徴する出来事として、F1史に重要な足跡を残しました。マシンの欠点と、チームを取り巻く状況が複雑に絡み合い、F1チームの運営の難しさを改めて示したと言えるでしょう。 また、ラウダ救出劇は、F1の歴史においても語り継がれる出来事の一つとなりました。TS19の活躍（あるいは苦戦）は、F1における技術開発、チーム運営、そしてドライバーの技量といった様々な要素が複雑に絡み合った結果であることを示しています。その点からも、TS19はF1の歴史において、非常に興味深い存在と言えるでしょう。

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