サード・ハリーリー

サアド・ハリーリー：レバノンの激動の時代を駆け抜けた政治家

サアド・ハリーリー（Saad ed Deen Rafiq al-Hariri、1970年4月18日 - ）は、レバノンの著名な政治家であり、過去に2期にわたり同国の首相を務めました。彼は、連立与党「3月14日同盟」の主要な一角である「未来運動」の党首としても知られています。

生い立ちと政治への道

1970年、サウジアラビアのリヤドで、実業家ラフィーク・ハリーリーとイラク人の妻ニダール・アル＝バスターニーの次男として生まれたサアド・ハリーリー。サウジアラビアで育ち、同国の国籍も有しています。2005年、父であるラフィーク・ハリーリー元首相が暗殺されたことを受け、未来運動の党首を引き継ぎ、政治の世界へと足を踏み入れました。

首相としての道のり

2009年の総選挙で未来運動が勝利を収めると、同年11月9日に首相に就任し、12月10日には正式に内閣が発足しました。しかし、2011年1月、親シリアのヒズボラ系閣僚を含む11名の閣僚が辞任したことが引き金となり、政権は崩壊。その後、ヒズボラ系のナジーブ・ミーカーティーが後任の首相として内閣を組織しました。

2016年、大統領の空白期間が2年5ヶ月も続く中、ハリーリーは次期首相への就任と引き換えに、3月8日同盟が擁立したミシェル・アウンの支持に転じました。この協力により、アウンから組閣を要請され、各派との調整を経て、12月に再び首相に就任。国内の安定を優先し、スンニ派やシーア派、キリスト教マロン派など、様々な宗派が参加する内閣を組織しました。

辞任と首相指名の返上

2017年11月4日、サウジアラビア訪問中に突如辞意を表明。「私の命を狙う陰謀を感じる」と述べ、イランやヒズボラを非難しました。この辞任劇は、国内外に大きな波紋を広げました。その後、辞意を撤回し首相を続投しましたが、2019年10月、反政府デモの激化を受けて再び首相を辞任しました。

2020年、ベイルート港爆発事故を受け、ハッサン・ディアブ首相が辞任。アウン大統領は再びハリーリーを首相に指名しましたが、組閣は難航しました。ハリーリーは無党派の専門家による内閣を形成しようと試みましたが、アウン大統領との対立が深まり、2021年7月15日、ついに首相指名を返上しました。

訴訟問題

2023年3月、ハリーリーが所有する建設会社のプライベートジェット内で性的暴行を受けたと訴えられ、アメリカの裁判所に損害賠償を求める訴訟を起こされました。ハリーリー側は疑惑を全面的に否定し、金銭目的の中傷作戦であると主張しています。

まとめ

サアド・ハリーリーは、レバノンの政治において重要な役割を果たしてきた人物です。首相としての功績、辞任劇、そして訴訟問題など、彼のキャリアは常に注目を集めています。激動の時代を生き抜く彼の今後の動向から目が離せません。

外部リンク:

サード・ハリーリー (@saadhariri) - X（旧Twitter）
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