サーブ・9-3

サーブ 9-3：スウェーデンが生んだ個性派セダンの歴史

サーブ9-3は、スウェーデンの自動車メーカー、サーブが1998年から2014年にかけて製造・販売した乗用車です。サーブ900の後継モデルとして登場し、独特の個性と高い走行性能で多くのファンを魅了しました。本記事では、初代と2代目モデルの特徴や歴史、販売状況などを詳しく解説します。

初代9-3 (1998-2002年)：ハッチバックとカブリオレの個性

初代9-3は、サーブ900（2代目）をベースにマイナーチェンジを施したモデルです。3ドア/5ドアハッチバックと2ドアカブリオレがラインナップされ、スポーティなデザインと優れたハンドリングが特徴でした。1600箇所に及ぶ改良が施され、乗り心地、操縦性、安全性（サイドエアバッグやアクティブヘッドレストなど）が大幅に向上しました。

パワートレインは、低圧ターボエンジンに加え、サーブ初のディーゼルエンジン搭載モデルも登場しました。また、最高出力225馬力の2.3リッターターボエンジンを搭載した「ビゲン」は、最高速度250km/h、0-100km/h加速6.4秒という驚異的な性能を誇り、サーブの技術力を示す象徴的なモデルとなりました。

2代目9-3 (2003-2014年)：セダン、ワゴン、そして4WDへ

2002年に発表された2代目9-3は、大きな変化を遂げました。ハッチバックボディを廃止し、4ドアセダンが中心となりました。エンジンは、サーブ独自の直列4気筒エンジンからGMのエコテック系列エンジンへと変更されました。グレードは、「リニア」、「アーク」、「ヴェクター」、「エアロ」の4種類が設定され、それぞれに異なるエンジンと装備が用意されました。

このモデルは、GMのイプシロンプラットフォームを採用した最初のモデルの一つでもあり、オペル・ベクトラと共通のプラットフォームを使用していました。2005年には、5ドアワゴンと新型カブリオレが追加され、アクティブヘッドレストやサスペンションも改良されました。

2008年には、2000箇所以上の改良が施され、フロントデザインやテールランプ、ドアパネルなどが変更されました。さらに、4WDシステム「XWD」を搭載した限定モデル「ターボX」も発売されました。2009年には、クロスカントリーモデル「9-3X」が発表されましたが、GMの経営危機の影響で発売は遅れ、サーブがスパイカー・カーズ傘下となった後、2010年に発売されました。

サーブの経営悪化により、2011年には生産を停止、2011年末には破産を申請しました。その後、NEVS（ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン）が生産を再開しましたが、2014年には再び生産を停止し、NEVSも破産申請しました。2016年には、NEVSがサーブブランドを使用せず、NEVSブランドで電気自動車を発売することを発表しました。

日本における販売

初代9-3はヤナセが輸入販売を行い、その後GMAPJ（ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパン）が輸入元となりました。スパイカー・カーズへのブランド売却後は、VTホールディングスのグループ会社であるピーシーアイ株式会社が正規輸入権を取得し、販売を継続しました。しかし、サーブブランドの衰退とともに、日本市場での販売台数は減少の一途を辿りました。

まとめ

サーブ9-3は、個性的なデザインと高い走行性能を両立させた魅力的なモデルでした。しかし、サーブ社の経営悪化という大きな波に飲み込まれ、その歴史に幕を閉じました。それでも、9-3はサーブの歴史において重要なモデルであり、多くのファンに記憶される一台と言えるでしょう。 その個性的なスタイルと高い走行性能は、現在でも多くのファンを魅了し続けています。

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