サーラー・アリー・カーン

サーラー・アリー・カーン

サーラー・アリー・カーン（Sara Ali Khan）は、1995年8月12日生まれのインドの女優です。ボリウッドで活動しており、2018年の鮮烈なデビュー以来、その才能と魅力で多くのファンを魅了しています。デビュー作『Kedarnath』での演技が高く評価され、新人女優賞を受賞。その後も話題作への出演が続き、2019年には経済誌フォーブス・インドのセレブリティ100にもランクインするなど、確固たる地位を築いています。

生い立ちと家族背景

ムンバイに生まれたサーラーは、インドの映画界やクリケット界に大きな足跡を残した著名な家系の出身です。父は俳優のサイーフ・アリー・カーン、母も女優のアムリタ・シンです。父方の祖母は伝説的な女優シャルミラ・タゴール、祖父は著名なクリケット選手であったマンスール・アリー・カーン・パタウディ。さらに父方のパタウディ家は、イギリス領インド帝国時代に藩王であった家系にルーツを持ちます。母方の祖父母も軍人やソーシャライトとして知られています。
サーラーには弟のイブラーヒーム・アリー・カーンがいるほか、父サイーフと現在の妻カリーナ・カプールとの間に異母弟タイムル・アリー・カーンがいます。その血筋は父方からベンガル人とパシュトゥーン人、母方からはパンジャーブ人と、多様な文化を受け継いでいます。

幼い頃から広告業界に関わり、4歳で早くもその世界に触れていました。女優を志すきっかけとなったのは、著名な女優アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャンの影響だったと、父サイーフは語っています。
2004年に両親が離婚し、母アムリタがサーラーと弟の親権を得ました。離婚当初は父との面会が難しかった時期もありましたが、後に母との関係が改善し、父との絆を取り戻しました。父とは友人同士のような親密な関係を築いているとされています。また、父の再婚相手であるカリーナ・カプールとも良好な関係を保っており、彼女のプロフェッショナリズムから学びたいと語るなど、尊敬の念を示しています。

10代の頃は体重管理に悩みを抱えていました。厳格なトレーニングメニューをこなしながら体型維持に努めていましたが、多嚢胞性卵巣症候群を患っていたことが、体重増加の一因であったと考えられています。
学業面では優秀で、アメリカ合衆国のコロンビア大学に進学し、歴史学と政治学を専攻しました。2016年には当初の予定よりも半年早く卒業課程を修了。その後インドに帰国するまでの期間をウェイト・トレーニングに費やし、女優としてのキャリアに備えました。

キャリア

2018年、アビシェーク・カプール監督の『Kedarnath』で待望の女優デビューを果たしました。この作品で彼女は、スシャント・シン・ラージプート演じるムスリムの青年と恋に落ちるヒンディー教徒の少女を演じ、難しい役どころに挑戦しました。役作りのために、共演者の協力も得ながらヒンディー語の語彙を熱心に学びました。同作は製作中のトラブルや、公開前に宗教的な対立を煽るとしてボイコット運動や上映禁止の動きが起こるなど、公開前から大きな波紋を呼びました。
映画自体の評価は賛否両論に分かれましたが、サーラーの演技に対しては批評家から惜しみない賛辞が贈られました。ムンバイ・ミラー紙の批評家は、映画の内容には厳しい評価を下しつつも、サーラーの表現力を絶賛。「怒り、希望、絶望、無邪気さなど、彼女は目で感情を表現する」「様々な顔を見せてくれる」と評しました。デイリー・ニュース&アナライシス紙も彼女の演技を「華々しい」と讃えました。『Kedarnath』は興行的にも成功を収め、サーラーは自身初となるフィルムフェア賞新人女優賞や国際インド映画アカデミー賞新人女優賞を受賞し、その年の新人女優の最有力候補となりました。

デビュー作の公開からわずか数週間後、彼女は早くも次の大作、ローヒト・シェッティ監督の『シンバ』に主演しました。2018年公開のインド映画で第3位となる興行収入40億ルピー以上を記録する大ヒットとなりました。『Kedarnath』の撮影が一時中断した時期に本作の撮影に参加したため、一時的に法的な問題も生じましたが、最終的には劇中での出演時間の調整などで和解に至りました。批評家の反応は『Kedarnath』ほど熱狂的ではなく、ザ・タイムズ・オブ・インディア紙の批評家は、サーラーとランヴィール・シンの主演コンビについて「息を呑むような美貌を見る以外にするべきことがない」と厳しく評価しています。

2020年には、イムティアズ・アリー監督の『Love Aaj Kal』に出演。過去に問題を抱える複雑な心情の少女を演じましたが、批評家からは経験不足を指摘する声もあり、スクロール・ドット・イン紙は「若い顔にカメラを近付けても、欠点が大きくなるだけ」と辛口の評価を下しました。同作は興行的にも振るいませんでした。同年後半には、デーヴィド・ダワン監督のコメディ『Coolie No. 1』に出演。Amazonプライムでの配信は視聴回数が好調だったものの、批評家からは再び厳しい評価を受け、ファーストポスト紙は「主人公の恋敵という枠を埋める以上のことは何もしていない」と酷評しました。

2021年には、アーナンド・L・ラーイ監督の『Atrangi Re』で、心的外傷後ストレス障害を抱える女性という難役を演じました。アクシャイ・クマール、ダヌシュといった実力派俳優と共演したこの作品は、COVID-19パンデミックの影響で劇場公開が見送られ、Disney+ Hotstarで配信されました。批評家の評価は混合的でしたが、ヒンドゥスタン・タイムズ紙はサーラーの演技の幅広さとビハール語訛りの台詞を高く評価し、「映画の魂」と絶賛する一方、ミント紙は彼女の台詞回しに難色を示すなど、評価が分かれる結果となりました。

パブリックイメージと社会活動

サーラー・アリー・カーンはそのカリスマ性と美貌で、多くのメディアで注目を集めています。Rediff.comによる「ベスト女優2021」で第9位にランクインしたほか、GQ誌が発表した2022年の「最も影響力のあるインドの若者30」では第7位に選ばれています。また、ザ・タイムズ・オブ・インド紙が毎年選出する「最も魅力的な女性50」にも度々名を連ねており、2018年に第30位、2019年に第27位、2020年には第24位と順位を上げています。
彼女は女優としての活動に加え、多数の有名ブランドの顔としても活躍しています。ファンタ、プーマ、ペプシコ、ヴィート、クルクレーといった幅広い分野のブランドのエンドーサーを務めています。2022年にはアパレルブランド「ソウル・ストア」のエクイティ・パートナーとなり、ビジネスの世界にも進出しています。

社会貢献活動にも積極的に参加しており、COVID-19パンデミックの際には、ソーヌー・スードが設立した慈善財団に酸素吸入器を寄付するなど、医療支援に貢献しました。さらに2021年には、ノーベル平和賞受賞者のカイラシュ・サティーアーティが設立した児童基金と協力し、パンデミックで親を亡くした孤児たちの支援プロジェクトにも関わっています。

主なフィルモグラフィー

『Kedarnath』 (2018年) - マンダカニ・ミシュラ役
『シンバ』 (2018年) - シャグン役
『Love Aaj Kal』 (2020年) - ゾー・チャウハン役
『Coolie No. 1』 (2020年) - サーラー・ロザリオ役
『Atrangi Re』 (2021年) - リンク / マンジャーリー・スーリヤヴァンシー役
『Gaslight』 (2023年) - ミーシャ / ファーティマー役
『Zara Hatke Zara Bachke』 (2023年) - ソムヤ・チャーウラー役
『Rocky Aur Rani Kii Prem Kahaani』 (2023年) - カメオ出演

受賞

フィルムフェア賞 新人女優賞 (『Kedarnath』, 2019年)
国際インド映画アカデミー賞 新人女優賞 (『Kedarnath』, 2019年)

関連項目

ボリウッドのカーン

外部リンク

Sara Ali Khan - IMDb (英語)
* Sara Ali Khan (@saraalikhan95) - Instagram

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