ザ・ヒットパレード (テレビ番組)

フジテレビ音楽番組の礎『ザ・ヒットパレード』

『ザ・ヒットパレード』は、1959年6月17日から1970年3月31日までフジテレビ系列で生放送された音楽番組です。当時、後発のテレビ局だったフジテレビが、渡辺プロダクションの協力を得て制作したこの番組は、日本のテレビ史、音楽史において重要な役割を果たしました。

番組の誕生と発展

番組は、渡辺プロダクション社長の渡辺晋とフジテレビのディレクターだった椙山浩一（すぎやまこういち、後の作曲家）が主導して企画されました。当時のフジテレビでは賄えないほどの規模の番組でしたが、渡辺プロダクションが制作費を肩代わりすることで実現しました。

総合司会は、人気ロカビリー歌手のミッキー・カーチスと長沢純が務めました。また、デビュー間もないザ・ピーナッツも司会を務め、初期には「踊る指揮者」スマイリー小原とスカイライナーズがレギュラー出演しました。彼らはこの番組を通じて一躍スターダムにのし上がりました。さらに、ザ・ピーナッツのバックバンドだった「ジャッキー吉川とブルー・コメッツ」も注目を集め、後のグループ・サウンズ・ブームの先駆けとなりました。

『ザ・ヒットパレード』は、後の『ミュージックフェア』や『夜のヒットスタジオ』など、フジテレビの音楽番組の基礎を築いた番組として、10年10ヶ月にわたり放送されました。番組のオープニングテーマは椙山浩一が作曲し、そのメロディーは広く知られ、様々な替え歌が作られるほどでした。

放送時間の変遷と番組の終焉

番組は、長きにわたり火曜19時枠で放送され人気を博しましたが、1969年10月には月〜木の日替わりバラエティ番組『夜のゴールデンショー』開始に伴い、土曜19時枠へ移動しました。その後、1970年1月には『エスカレーションクイズ「対決!1対10」』との枠交換で火曜21時枠へ移動し、同年3月31日に10年10ヶ月の歴史に幕を閉じました。

渡辺プロダクションとの共同制作

『ザ・ヒットパレード』をきっかけに始まったフジテレビと渡辺プロダクションの共同制作は、その後も『新春かくし芸大会』や『クイズ・ドレミファドン!』、『ウチくる!?』など数々の人気番組を生み出し、現在放送中の『なりゆき街道旅』にも引き継がれています。

また、この番組はフジテレビの番組の中でも早い時期にカラー化されており、1967年4月4日放送分からカラー放送となりました。

復活特番と番組の遺産

番組終了から7年後の1977年4月5日には、復活特番『ポップス20年〜ザ・ヒットパレード』が放送されました。ハナ肇とクレージーキャッツ、平尾昌晃、坂本九、ミッキー・カーチス、スパーク3人娘（中尾ミエ、園まり、伊東ゆかり）、布施明、木の実ナナなど、番組にゆかりのある多くの歌手が出演しました。

ザ・ピーナッツは既に芸能界を引退していましたが、番組冒頭のタイトルコールには過去の音声が使用されました。

歴代司会者

番組の司会者は、放送期間中に何度か交代しています。以下に主な司会者をまとめます。

初代：ミッキー・カーチス（1959年6月 - ?）
初代：ミッキー・カーチス、芳村真理（? - 1959年9月）
2代目：ミッキー・カーチス、坂井メイ子（1959年10月 - 1961年3月）
3代目：ミッキー・カーチス、豊原ミツ子（1961年4月 - 1961年9月）
4代目：長沢純、豊原ミツ子（1961年10月 - 1966年3月）
5代目：尾藤イサオ、豊原ミツ子（1966年4月 - 1967年3月）
6代目：尾藤イサオ、木の実ナナ（1967年4月 - 1968年9月）
6代目：木の実ナナ（単独）（1968年10月 - 1969年2月）
7代目：堺正章、梓みちよ（1969年2月 - 1969年9月）
8代目：布施明（単独）（1969年10月 - 1970年3月）

番組の裏側

番組開始当初、スタッフや出演者は20代の若い世代が中心で構成されており、新しい時代のテレビ番組として注目されました。

初代スポンサーはベルマン化粧品でしたが、後にキヤノン、渡辺製菓、ミツワ石鹸、江崎グリコなどがスポンサーとなりました。1969年頃にはコカコーラ・ボトラーズが提供となり、土曜19時枠へ移動した際にはコカコーラ・ボトラーズとシスコの2社提供となりました。

番組開始当初はスポンサーがつかず、渡辺プロダクションがノーギャラでタレントを出演させていました。

1961年、女性司会者の坂井が結婚でフジテレビを退社する際、後任として選ばれた豊原ミツ子に対し、フジテレビは容姿を理由に難色を示しましたが、椙山浩一は「可愛くない人間が売れないなら、サザエさんは売れないはずだ」と反論し、豊原の起用を実現させました。

当時の技術的な制約から、番組の映像はほとんど現存していませんが、2013年に発売されたDVDボックスにザ・タイガース出演時の一部映像が収録されています。

『ザ・ヒットパレード』を題材にした作品

2006年には、渡辺プロダクション創立50周年プロジェクトとして、スペシャルドラマ『ザ・ヒットパレード〜芸能界を変えた男・渡辺晋物語〜』が放送されました。渡辺晋役を柳葉敏郎、美佐役を常盤貴子が演じ、ザ・ピーナッツ役には安倍なつみと麻美が抜擢されました。

また、2007年にはミュージカル『ザ・ヒットパレード〜ショウと私を愛した夫〜』が上演され、渡辺晋と美佐の夫婦愛を軸に描かれました。渡辺晋役は原田泰造、美佐役は戸田恵子が演じ、ザ・ピーナッツ役は堀内敬子と瀬戸カトリーヌが務めました。

現代への影響

『ザ・ヒットパレード』のオープニングテーマは、様々な場面で引用され、替え歌としても使われています。例えば、『北野ファンクラブ』のオープニングテーマや、『タモリのSUPERボキャブラ天国』のコーナータイトル、『お笑いの日2022』のコラボネタ、また、アサヒビールや志乃ぶ寿司、リクルート、ダイハツなどのCMにも使用されています。さらに、読売ジャイアンツの応援テーマや、サッカー日本代表の岡崎慎司選手のチャントにも使われるなど、その影響は今もなお続いています。

ネット局

番組はフジテレビ系列の多くの放送局で放送されました。ネット局と放送時間は以下の通りです。

フジテレビ
札幌テレビ
北海道放送
仙台放送
新潟放送
長野放送
テレビ静岡
富山テレビ
石川テレビ
福井テレビ
東海テレビ
関西テレビ
広島テレビ
西日本放送
テレビ西日本
サガテレビ
テレビ熊本
沖縄テレビ

まとめ

『ザ・ヒットパレード』は、日本のテレビ史において重要な音楽番組であり、多くのスターを輩出し、高度経済成長期の日本を彩りました。その影響は現代にも及び、多くの人々に愛され続けています。

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