シェリー・マーテル

シェリー・マーテル：女子プロレス界のレジェンド

シェリー・マーテル（本名：シェリ・ラッセル、1958年2月8日 - 2007年6月15日）は、アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズ出身の伝説的女子プロレスラーにしてマネージャーです。卓越したリングスキルとカリスマ性で、AWA、WWF（WWE）、WCWといった主要団体で活躍し、数々のトップレスラーを支え、女子プロレス界に多大な影響を与えました。

華麗なるキャリアの始まり

幼少期、サーカス団のピエロを夢見て家出した経験を持つシェリーは、地元ミッドサウスのプロレス興行に魅せられ、プロレスラーへの道を志します。ナイトクラブでのアルバイトをしながらブッチ・ムーアに師事し、その後ファビュラス・ムーラのレスリングスクールで研鑽を積みました。1980年のデビュー後、メンフィスのCWAなどで経験を積み、1982年には全日本女子プロレスに初来日、WWWA世界タッグ王座に挑戦するなど、早くから国際的な舞台で活躍を見せました。

AWA時代：女子王者として、そして敏腕マネージャーとして

1985年、シェリーはバーン・ガニア率いるAWAに参戦。デビュー戦でAWA女子王座を獲得するという鮮烈なデビューを飾りました。その後も女子王者として活躍する傍ら、男性レスラーのマネージャー業にも進出。バディ・ローズとダグ・サマーズらと組んでミッドナイト・ロッカーズとの抗争を指揮するなど、その手腕は高く評価されました。AWA時代にはジャパン女子プロレスにも遠征し、ジャッキー佐藤や神取忍といった日本のトップレスラーと対戦。さらに、当時AWAに遠征していた高野拳磁とは同居していたというエピソードも残っています。

WWF（WWE）時代：ヒールとしての転身と数々のトップレスラーとのタッグ

1987年下期、シェリーはWWF（現WWE）に移籍。ベビーフェイスとしてデビューし、師匠であるファビュラス・ムーラからWWF女子王座を奪取、一年以上にわたって王座を保持しました。その後ヒールに転向し、ホンキー・トンク・マンの恋人役ペギー・スーとして活躍。さらに、ランディ・サベージのマネージャーとなり、“センセーショナル・シェリー”として、ハルク・ホーガン＆エリザベスとの抗争を繰り広げました。サベージがマッチョ・キングになると、彼女はクイーン・シェリーと改名し、王者としての地位を確立しました。1990年には東京ドームで行われた日米レスリングサミットにも参加し、徳光和夫と一触即発の場面もあったほど、その存在感は圧倒的でした。

サベージとの関係が終わりを告げると、シェリーはテッド・デビアスと組み、その後はショーン・マイケルズとタッグを組みました。若いマイケルズをサポートし、彼のヒールとしてのキャラクター確立に大きく貢献。特に、マイケルズのテーマ曲『Sexy Boy』の初期バージョンではシェリーがボーカルを担当するなど、彼のキャリアの礎を築いた一人と言えるでしょう。マイケルズとの関係に亀裂が生じると、シェリーはベビーフェイスに転向し、USWAにも参戦しました。その後、WWFを退団します。

WCW時代：新たな挑戦と新たな成功

WWF退団後は、スモーキーマウンテンレスリングやECWを経て、1994年にWCWへ。リック・フレアーのマネージャーとして、ハルク・ホーガンやスティングらとの抗争をサポートしました。その後、“シスター・シェリー”と改名し、ハーレム・ヒートのマネージャーとして、彼らをWCW世界タッグ王者に導きました。さらに、カーネル・ロバート・パーカーとの恋愛アングルや、メデューサ、デブラとの抗争など、数々の話題を提供し続けました。しかし、エリック・ビショフとの不和によりWCWを離脱します。

晩年とレガシー

1990年代後半からはインディー団体で活躍。AWA女子王座を獲得するなど、そのキャリアは衰えを知りませんでした。2000年には短期間WCWに復帰。2002年にはOVWにも登場し、2005年にはWWEスマックダウンでショーン・マイケルズとの共演を果たしました。2006年にはWWE殿堂入りを果たし、その功績は広く称えられました。しかし、2007年、薬物過剰摂取により49歳という若さでこの世を去りました。

シェリー・マーテルは、卓越したリングスキル、カリスマ性、そして敏腕マネージャーとしての才能を兼ね備えた、真の女子プロレス界のレジェンドです。彼女の残した功績は、後世の女子プロレスラーたちに大きな影響を与え続け、その名は永遠に語り継がれるでしょう。

もう一度検索