シェリー準男爵

シェリー準男爵：三つの家系が織りなす歴史

シェリー準男爵は、イギリスに存在するシェリー姓の準男爵位の総称です。その起源は17世紀に遡り、3つの異なる家系が存在します。これらの家系は、いずれもジョン・シェリー・オブ・マイケルグラヴ（?-1526）を共通の祖としています。

マイケルグラヴのシェリー準男爵 (1611年創設)

最も古いのが、1611年5月22日にジョン・シェリーに与えられたイングランド準男爵位です。この準男爵位は、サセックス州マイケルグラヴにちなんで名付けられました。初代準男爵の死後、孫のチャールズが爵位を継承し、その後7代にわたって直系男子による相続が続きました。

4代準男爵ジョンは、アランデル及びルイス選挙区から庶民院議員に選出され、政治家としての活動を行いました。5代準男爵ジョンも父と同様に庶民院議員を務めたほか、ロンドン塔記録管理官や財務省記録簿書記官といった高給の官職を歴任しました。7代準男爵ジョンに男子がいなかったため、準男爵位は弟のフレデリックの系統に移り、現在に至るまでその直系子孫が継承しています。現在の当主は11代準男爵ジョンです。

ゴアリング城のシェリー準男爵 (1806年創設)

1806年3月3日、ビッシュ・シェリーが(サセックス州ゴアリング城の)準男爵に叙せられました。彼はホイッグ党とノーフォーク公爵の支援者でした。彼の死後、長男ティモシーが準男爵位を継承しました。次男のジョンも準男爵位を授与され、ペンズハースト・プレイスのシェリー準男爵家を創設しました。

2代準男爵ティモシーの長男、パーシー・ビッシュ・シェリー(1792-1822)は、ロマン派の詩人として知られています。『西風の賦』などの作品で有名で、妻のメアリー・シェリーはゴシック小説『フランケンシュタイン』の作者として知られています。

パーシーは父に先立って亡くなったため、準男爵位は夫妻の息子パーシーが相続しました。しかし、彼にも男子がいなかったため、爵位は従兄弟のエドワード、さらにその弟チャールズの順で継承されました。8代準男爵フレデリックが後継者なく亡くなったことで、2代準男爵の系統は途絶え、初代準男爵の次男ジョンの子孫が準男爵位を継承しました。その後、ゴアリング城の準男爵位はド・リール子爵家に統合され、現在に至っています。一族の邸宅であったゴアリング城は、1835年にメアリー・シェリーによって売却されました。

ペンズハースト・プレイスのシェリー準男爵 (1818年創設)

ゴアリング城の初代準男爵サー・ビッシュ・シェリーの次男、ジョン・シェリーは、1818年12月12日にペンズハースト・プレイスの準男爵に叙せられました。その子フィリップがド・リール＝ダドリー男爵に叙せられ、その子孫である6代男爵ウィリアムがド・リール子爵を授けられたため、準男爵位はド・リール子爵位の従属爵位となっています。

まとめ

シェリー準男爵は、3つの家系がそれぞれ異なる歴史を辿りながら、現在まで存続しています。各家系の複雑な継承関係や、著名な人物の存在は、イギリスの貴族制度の奥深さを物語っています。それぞれの家系は、イギリスの歴史と文化に深く根ざしており、その足跡は今もなお様々な形で残されています。

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