シェルブールの雨傘

シェルブールの雨傘

『シェルブールの雨傘』（Les Parapluies de Cherbourg）は、フランスの映画監督ジャック・ドゥミが1964年に発表した恋愛映画で、フランスと西ドイツの合作作品です。音楽は著名な作曲家ミシェル・ルグランによるもので、この作品はミュージカル映画として全編が歌で構成されています。この特徴的な形式は、当時の映画界では非常に革新的であり、多くの観客に驚きを与えました。この映画は第17回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞し、現在でも映画史において重要な位置を占めています。

概要

『シェルブールの雨傘』は、全編が音楽だけで構成されている点が特徴です。台詞はなく、キャラクターたちの対話や感情がすべて歌によって表現されます。この手法は映画に新たな視覚と聴覚の体験をもたらしました。
音楽は非常に高く評価され、特に主題歌は国際的にヒットしました。その後も舞台化され、世界中で上演されています。

主演のカトリーヌ・ドヌーヴの出世作としても知られていますが、彼女を含む出演者たちは音楽の専門家ではなかったため、実際の歌唱はプロの歌手によって吹き替えられました。映画は何度もリマスターされており、2009年には製作45周年を記念して日本で初のデジタルリマスター版が公開されました。また、2013年には完全デジタル修復版が制作され、カンヌ・クラシックスで上映されました。

ストーリー

映画は三部構成で描かれています。第一部では、アルジェリア戦争の最中、シェルブールに住む若いカップル、ギイとジュヌヴィエーヴが結婚を誓います。彼らは未来の子供の名前を話し、夢を見る充実した時間を過ごしていますが、ギイに召集令状が届き、別れが訪れます。これにより彼らの運命は大きく変わってしまいます。

第二部では、ジュヌヴィエーヴがギイからの手紙を待ちながら、彼女が妊娠していることを知ります。彼女はギイの不在に不安を感じながらも、宝石商ローラン・カサールとの出会いを通じて新たな人生を模索します。カサールは、彼女に結婚を申し込もうとしますが、結局は自身の道を選び別れます。ジュヌヴィエーヴはギイの手紙の内容に一瞬喜びながらも、彼に捨てられたとの思いからカサールの求愛を受け入れます。

第三部では、ギイが負傷して帰還するものの、ジュヌヴィエーヴは別の人生を歩んでいます。失意の中で彼は新たにガソリンスタンドを開業し、自らを立て直す決意をします。ギイが彼の元を訪れたジュヌヴィエーヴと再会し、お互いの幸せを願う場面が印象的です。

登場人物

映画には複数の魅力的なキャラクターが登場します。ギイ役はニーノ・カステルヌオーヴォが演じ、ジュヌヴィエーヴはカトリーヌ・ドヌーヴが演じています。また、エムリ夫人や伯母エリーズなど、重要な役どころもいくつか存在します。歌声はプロの歌手によって吹き替えられ、各キャラクターの感情が歌に込められています。

音楽

本作の音楽は、ルグランによる美しい旋律とリリックが特徴です。特に主題曲は、多くのアーティストによって歌われ、その普遍的なテーマが多くの人の心に響きました。また、映画公開後も、日本を含む国々で様々な形でアレンジされ、愛され続けています。

さらに、この映画は日本でも舞台化され、1983年に初上演されました。ドゥミ監督とルグランの両者の協力により、日本の観客に新たな作品として受け入れられ、多くの感動を呼び起こしました。

『シェルブールの雨傘』は、その美しい音楽と感情豊かなストーリーにより、今もなお多くの人々に愛され続けている名作です。

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