シェ族

シェ族：中国南部の少数民族

シェ族（She族）は、中国南部の福建省を中心に居住する少数民族です。中華人民共和国は、シェ族を漢族を含む56の民族の一つとして公式に認めています。福建省では最大の少数民族であり、浙江省、江西省、広東省、安徽省にも居住しています。

シェ族の言語

シェ族の言語は、ミャオ・ヤオ語族に属するとされています。しかし、現在ではシェ族の大半が中国語諸語の一つである客家語を話します。独自の言語を維持しているのは、広東省に数えるほどの人々のみで、彼らは自分たちを「Hone（活聶）」と呼んでいます。

シェ族の居住地

シェ族は、中国南部に点在する複数の自治体や地域に居住しています。特に、浙江省の景寧シェ族自治県は、シェ族の文化の中心地として知られています。その他、福建省連江県小滄シェ族郷など、多くの民族郷や民族鎮がシェ族の居住地となっています。これらの地域は、シェ族の伝統文化が比較的色濃く残る地域と言えます。

シェ族の文化

シェ族の文化は、独自の要素と周辺民族の影響が混ざり合った独特のものです。

始祖伝説とトーテム信仰: シェ族には、ヤオ族にも共通する槃瓠（パンフー）の犬祖伝説に基づく始祖伝説があり、犬をトーテムとする信仰が根強く残っています。犬に関する伝承、習俗、そして犬肉食に関するタブーなど、犬トーテムはシェ族の民族文化の核となっています。
年中行事: シェ族は、旧暦3月3日を「三月三」（ソムギュエッソム）と呼び、祝祭日としています。これはチワン族の伝統行事と共通する点です。また、「畲歌」と呼ばれる即興の歌を歌うことも、シェ族の文化的重要な要素です。かつては広東省で「招兵」と呼ばれる大規模な道教儀礼が行われていましたが、1950年代以降は行われなくなっています。これは、シェ族と漢族の同化が進んだことを反映していると考えられます。
伝統衣装: シェ族の女性は、伝統的に頭に「三把刀」と呼ばれる刀に似た形の金属片3枚を飾りとしてつけていました。
餅つき: シェ族は、チワン族と同様に、棒状の手杵と飼い葉桶のような形の臼を用いた餅つきを行う伝統があります。餅つきには歌や踊りも伴います。

シェ族の遺伝子

シェ族の遺伝子研究では、Y染色体ハプログループの多様性が明らかになっています。O1a、O1b1a1、O2a1b、O2a2a*、O2a2a1a2、O2a2b1a1、O2a2b1a2などのハプログループが確認されており、シェ族の遺伝的な多様性を示しています。

シェ族の著名人

シェ族出身の著名人には、鍾学吉などがいます。

まとめ

シェ族は、独自の文化と歴史を持つ中国南部の少数民族です。しかし、周辺民族との長年の交流により、文化の同化も進んでいます。現代のシェ族社会は、伝統と現代社会の狭間で、そのアイデンティティを模索していると言えるでしょう。彼らの文化と伝統が、これからも大切に受け継がれていくことが望まれます。

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