シエラ・ネヴァダ・コーポレーション

シエラ・ネヴァダ・コーポレーション（英語: Sierra Nevada Corporation、略称: SNC）は、アメリカ合衆国ネバダ州に本社を置く、航空機および宇宙船の開発製造を主たる事業とする企業である。世界各地に顧客を持ち、アメリカ国内だけでも17州に31の拠点を展開している。「革新的かつ俊敏な技術解決策」（"Innovative & Agile Technology Solutions"）を会社標語に掲げ、防衛、宇宙、情報技術など、多岐にわたる技術分野で活動している。

沿革

同社の起源は、1963年にジョン・チザム氏がネバダ州で設立した、飛行機格納庫の開発を手掛ける企業に遡る。設立後、チザム氏の娘であるミシェル・バーグフィールド氏が経営を引き継ぎ、事業は発展した。会社の大きな転機となったのは1994年で、ファティ・オズマン氏とエレン・オズマン氏夫妻が同社を買収したことである。夫妻のリーダーシップのもと、SNCは航空宇宙産業の中核事業に加え、再生可能エネルギー、遠隔医療、ナノテクノロジー、情報管理といった新たな分野にも積極的に進出し、買収から30年以上にわたり継続的な事業拡大を実現している。

特に注目される買収としては、2014年6月のオービタル・テクノロジーズ（ORBITEC）社がある。液体ロケット推進や生命維持システム、消火技術に専門性を持つORBITECは、買収以前からすでに3年間にわたり、シエラ・ネヴァダ・コーポレーションが進める宇宙輸送船ドリームチェイサーの開発において、環境制御・生命維持システム（ECLSS）や熱制御システム（TCS）の分野で協力を進めていた実績を持つ。

近年の国際的な動向としては、2024年9月18日、中華人民共和国政府が、台湾への武器販売に関与したとして、SNCを含むアメリカ合衆国の軍事関連企業9社に対し、制裁措置を発表している。

主要事業・製品および契約

SNCは、防衛および宇宙分野で数多くの重要なプロジェクトや契約に関与している。

航空機関連:
2013年2月には、エンブラエル社と共同で開発したエンブラエル EMB-314を提供し、アフガニスタン軍に対する偵察および訓練機能を提供する目的で、米空軍のライトエアーサポート契約を受注した。
また、無人航空機 MQ-9 リーパーに搭載される広域監視センサー「Gorgon Stare program」の開発を、2009年からフロリダ州のエグリン空軍基地において米空軍と共同で進めている。
さらに、2024年には、米空軍の早期警戒管制機E-4Bナイトウォッチの後継機開発契約を、約130億ドルの規模で受注した。この契約は、ボーイング社が有力視されていた中でSNCが獲得したものであり、ボーイング747-8iをプラットフォームとする計画である。

宇宙開発事業:
ドリームチェイサー: 国際宇宙ステーション（ISS）への物資輸送を主な目的として開発が進められている有翼宇宙船である。元々はスペースデブ（SpaceDev）社によって開発が開始されたが、2008年にスペースデブ社がSNCに買収された後、SNCがその開発を引き継ぎ現在に至る。
* RocketMotorTwo: スケールド・コンポジッツ社が開発した有人宇宙船スペースシップツーに搭載されるロケットエンジンであるRocketMotorTwoも、SNCが開発を担当した。2013年4月29日には、スペースシップツーがこのRocketMotorTwoを使用して音速の壁を突破する歴史的な飛行に成功している。

日本との連携

SNCの活動は国際的にも広がっており、特に日本における展開として、SNCの子会社で宇宙機事業を担うシエラ・スペース社は、2022年2月に日本の兼松株式会社および大分県との間で覚書を締結した。この覚書に基づき、宇宙輸送船ドリームチェイサーのアジアにおける着陸拠点として、大分空港（大分県国東市）を活用する可能性について具体的な検討が進められている。

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