シギ・クトク

シギ・クトク：モンゴル帝国の基礎を築いた人物

概要

シギ・クトク（Šigi Qutuqu）は、モンゴル帝国創設期から第4代皇帝モンケの治世にかけて活躍した人物です。彼は1179年から1183年に生まれ、1260年から1264年に亡くなります。ペルシア語文献『集史』や漢文の『元史』など、彼の名前はさまざまに記録されていますが、彼は特にチンギス・カンの妻ボルテによって育てられたため、彼の人物像はその影響を強く受けています。

出自

シギ・クトクはモンゴル部の宿敵であるタタル部の貴族出身とされています。1196年頃、モンゴル部とタタル部の小競り合いの際にタタル部の陣営に取り残されていたところをテムジン（後のチンギス・カン）に発見されました。彼を見たテムジンは彼が良い家柄だと判断し、彼を母ホエルンのもとへ連れて行きました。ホエルンはそのままシギ・クトクを養子として育てることになります。このように、彼はホエルンだけでなく、ボルテにも深い愛情を注がれながら育てられたのです。

一方、シギ・クトクがボルテの養子として育てられたという伝承もあり、そこには微妙な食い違いがあります。『集史』では、チンギス・カンがタタル部族に遠征中、彼を拾い上げてボルテに送り育てさせたとされています。シギ・クトクはチンギスの義弟にあたり、彼を「エチェ」という父のように呼んでいました。ボルテが亡くなった際には、彼女の墓を叩いて「善き母よ！」と泣き叫ぶ姿が記録されています。

事蹟

モンゴル帝国が1206年に成立した時、シギ・クトクはウイグル文字に精通していたことからチンギス・カンに大断事官（イェケ・ジャルグチ）に任命され、徴税などの重要な役割を果たしました。1215年には金の中都が開城した際、オングル・バウルチやアルカイ・カサルと共に財宝庫の接収に派遣されましたが、彼は金幣を一切受け取らず、これが後にチンギス・カンから称賛された要因となります。

その後、シギ・クトクは1219年から始まる大西征に従軍し、一軍を率いるもホラズム軍との戦いで敗北しましたが、チンギス・カンの義弟であったため責任を問われませんでした。彼はチンギス・カンの死後もその子孫に仕え、オゴデイの時代に金を征服した後は、新たな税制を整備しました。

晩年には、クビライとアリクブケの間で起こった帝位継承戦争に関与し、アリクブケ側を支持していましたが、結局彼は不遇な晩年を送ることとなりました。

シギ・クトクはモンゴル人には珍しく長寿で、82歳まで生きたと伝えられ、彼の死後もその功績は多くの資料に記されています。彼の多才さや忠誠心は、モンゴル帝国の形成と発展に大きく寄与しました。

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