シクドゥル (キプチャク部)

シクドゥルの生涯と軍歴

シクドゥル（モンゴル語: Šikdür、? - 1298年）は、キプチャク部に属し、13世紀末に大元ウルスに仕えた軍事指導者です。彼の業績や役職は、彼の父トクスンの軍歴を踏まえることで、より深く理解することができます。父トクスンは1262年に丞相バヤンの李璮を討伐する際に功績を挙げ、百人隊長に昇進しましたが、シクドゥルはその地位を受け継ぐ形で、彼の軍事的な道を歩み始めます。

軍事活動の開始

1273年にトクスンが現役を退いた後、シクドゥルは父の後を継ぎ、1274年には南宋への遠征に参加しました。この時、襄陽府や唐州、鄧州などの都市の攻略に貢献し、その功績から忠顕校尉と管軍総把の地位を賜ります。シクドゥルは父の名家としての名声を受け継ぎ、更にその後の軍事活動を通じて自身の名誉を築くこととなります。

応昌の包囲とシリギの乱

1277年、シクドゥルは叛乱を起こしたコンギラト部のジルワダイ討伐に参加します。その後、シリギの乱として知られる混乱にも加わり、敵勢を撃退しました。この戦闘を通じて、シクドゥルは1280年までには金符を贈られ、武略将軍として昇進しました。

さらなる征戦

1287年には、狩猟の虎符を授からざるを得ない状況となり、宣武将軍に昇進、また万戸府ダルガチの地位に就きました。同年の秋、シクドゥルはベトナムの陳朝との戦に従軍します。タクビーから広西地方に至る道中で戦闘を重ね、ベトナム軍との接触を始めました。

ベトナム遠征とその影響

1288年、シクドゥルは興道王陳国峻が指揮するベトナム軍とタージ山で交戦します。この際、彼は右腕に毒矢を受けながらも奮闘し、多くの敵を撃破しました。4月には韓村堡の戦いで敵将を捕虜にするも、ベトナム軍の夜襲を受けましたが、シクドゥルは冷静に軍を指揮し、敵を打破しました。

この遠征は最終的には失敗に終わりましたが、シクドゥルの軍事的な手腕は評価され、鎮南王トガンは彼の功績を称えました。

晩年とその後

1289年には更に虎符を賜り、広威将軍としての新たな地位を得ました。1298年、シクドゥルはその生涯を閉じ、息子のエセン・テムルが後を継ぐ形で家業が引き継がれました。シクドゥルの生涯は、モンゴル帝国の歴史の中の一つのエピソードであり、彼の軍事的な功績は今なお評価されています。彼の伝記は、当時のモンゴルの指導者たちにとっての範として重要な役割を果たしました。

もう一度検索