シグナス NG-18

NG-18 シグナス宇宙補給ミッション

NG-18ミッションは、ノースロップ・グラマン社が開発・運用する無人宇宙補給機「シグナス」による、国際宇宙ステーション（ISS）への重要な貨物輸送フライトです。これは、シグナス計画全体としては18回目のミッションに当たります。特に、NASAとの商業補給サービス（CRS-2）契約の下で実施されたISSへの輸送としては17回目の飛行であり、同契約におけるシグナス宇宙船の打ち上げとしては7回目の成功例となりました。本ミッションは、2022年11月7日に無事打ち上げられ、ISSへの物資補給という重要な役割を果たしました。

プログラムの背景

本ミッションに用いられるシグナス宇宙船を含むISSへの商業貨物補給システムは、かつてオービタルATKとして知られ、現在はノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズの一部となっている企業と、NASAが協力して開発しました。この取り組みは、商業軌道輸送サービス（COTS）計画の一環として行われました。オービタルATKは、中型打ち上げロケット「アンタレス」の開発に加え、先進的な無人宇宙船シグナスの設計、調達、製造、そして組み立てを担当しました。シグナス宇宙船は、パートナー企業であるタレス・アレーニア・スペースが提供する与圧貨物モジュール（PCM）と、オービタルGEOStar衛星バスを基にしたサービスモジュールによって構成されています。

ミッションの実行と宇宙船

NG-18ミッションは、NASAの商業補給サービスフェーズ2契約の下で実施された、シグナス宇宙船による7番目の飛行に位置づけられます。ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズは、将来のCRS-2ミッションのために追加の与圧貨物モジュールを製造することを2021年2月23日に発表しました。タレス・アレーニア・スペース（イタリア、トリノ）がこれらのモジュールを製造し、そのうちの2機が当時の計画でNG-18およびNG-19ミッションに割り当てられました。シグナス宇宙船の製造と統合は、バージニア州ダレスで行われました。サービスモジュールは、打ち上げに先立ち、打ち上げ場所で与圧貨物モジュールと結合されます。このミッションは、バージニア州ダレスおよびテキサス州ヒューストンにある管制センターから遠隔で制御されました。

このNG-18フライトでは、改良された拡張シグナスPCMが使用され、これはシグナス宇宙船の13回目の拡張型PCMの飛行となります。宇宙船自体には、宇宙に行った初めてのアメリカ人女性である故サリー・ライド氏を称え、「宇宙船サリー・ライド」と名付けられました。

打ち上げと軌道上での出来事

NG-18ミッションは、当初2022年11月6日に打ち上げられる予定でした。しかし、ノースロップ・グラマンの管制センターで発生した火災報知器の作動による避難のため、打ち上げは翌日に延期されることとなりました。このミッションは、その後2022年11月7日、バージニア州にある中部大西洋地域宇宙基地から無事打ち上げられました。地球周回軌道に到達し、ISSへのランデブー飛行を開始した約6時間後、NASAはシグナス宇宙船に搭載されている2基の太陽電池パネルのうち1基が完全に展開しなかったことを確認しました。ノースロップ・グラマン社は、この状態でも宇宙船がISSに安全に到着し、ミッションを継続することが可能であると報告しました。状況評価の後、NASAはシグナスとISSのランデブーおよびドッキングが安全に実施できると判断しました。その結果、宇宙船「サリー・ライド」は、打ち上げから2日後の11月9日に国際宇宙ステーションに無事到着しました。

積荷と科学研究

シグナス宇宙船NG-18には、総重量3,707 kg (約8,173 lb)におよぶ様々な物資が搭載されていました。これには、ISSに滞在する宇宙飛行士のための乗組員補給品、多岐にわたる科学調査に使用される実験機器、船外活動に必要な装備品、宇宙ステーションの維持や機能向上に用いられる宇宙船ハードウェア、そしてコンピューター関連資材が含まれています。積荷の詳細は以下の通りです。

乗組員の補給品: 1,637 kg (3,609 lb)
科学調査関連機器: 850 kg (1,870 lb)
船外活動装備: 66 kg (146 lb)
宇宙船ハードウェア: 1,077 kg (2,374 lb)
* コンピューター資材: 78 kg (172 lb)

これらの新しい物資と共に軌道周回実験室に届けられた科学実験は、将来の科学者や宇宙探査を目指す人々を鼓舞し、研究者には微小重力環境下での貴重な洞察をもたらします。例えば、NASAグレン研究センターが主導する「固体燃料の着火および消火 - 材料着火および抑制試験 (SoFIE-MIST)」調査はその一つです。この実験では、空気流速、酸素濃度、圧力、外部からの放射レベルといった様々な条件を変化させることで、微小重力環境下における固体燃料の熱アシスト燃焼の挙動を詳細に調査することを目的としています。このような研究は、宇宙空間での火災安全対策の向上や、新たな燃焼技術の開発に貢献することが期待されています。

NG-18ミッションは、太陽電池パネルの一部展開不良という予期せぬ事態に見舞われながらも、計画通りのISSへの貨物補給を達成し、ISSでの科学研究や運用維持に不可欠な物資を届けた成功した飛行となりました。

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