システマティック・ケイオス

ドリーム・シアター『システマティック・ケイオス』徹底解説

『システマティック・ケイオス』は、アメリカのプログレッシブ・メタルバンド、ドリーム・シアターが2007年に発表した9枚目のスタジオ・アルバムです。本作は、バンドがロードランナー・レコードに移籍して初めてリリースしたアルバムとしても知られています。

制作の舞台裏

アルバムの制作は、2006年9月から2007年2月にかけて、ニューヨークのアバター・スタジオで行われました。マイク・ポートノイ（Dr）とジョン・ペトルーシ（Gt）が共同でプロデュースを担当し、エンジニアにはポール・ノースフィールドが起用されました。2007年2月14日に最終ミックスが完了し、2月21日には収録曲が発表、6月4日にアルバムがリリースされました。

本作はアメリカのBillboard 200で19位にランクインし、当時のドリーム・シアターのアルバムとしては、アメリカのチャートで最も高い順位を記録しました。

CDのみの通常版に加え、アルバムの5.1チャンネルミックスと、90分に及ぶアルバム制作ドキュメンタリー『Chaos in Progress - The Making of Systematic Chaos』を収録したDVD付きのスペシャル・エディションも発売されました。また、LP2枚組でもリリースされています。

音楽性の特徴

ポートノイは本作について、「ドリーム・シアターに人々が期待する要素がすべて詰まっている。ヘヴィでテクニカル、パワフルでダイナミックだ。スタイルとサウンドは変わっていないが、本物の音の爆発を目指した。とてもドラマティックで攻撃的な作品だ」と語っています。

『イメージズ・アンド・ワーズ』『オクタヴァリウム』に続き、インストゥルメンタル曲が収録されていないアルバムです。

収録曲について

イン・ザ・プレゼンス・オヴ・エネミーズ: アルバムの最初と最後に収録された大曲ですが、元々は1つの楽曲です。ポートノイは、アルバムの最初と最後の曲を長くしたくなかったため、分割したと語っています。ライブでは続けて演奏されることが多く、1曲として捉えた場合、ドリーム・シアターの楽曲の中で2番目に長い曲となります。
コンスタント・モーション: アルバムからの最初のシングルとしてリリースされ、ミュージックビデオも制作されました。
リペンタンス: ポートノイのアルコール依存症克服の道のりを描いた「Twelve-step Suite」シリーズの4作目。アルコホーリクス・アノニマスの12ステッププログラムの8番目と9番目をテーマにしています。ジョン・アンダーソン、ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイ、クリス・ジェリコなど、豪華ゲストが謝罪の声を担当しました。
プロフェッツ・オブ・ウォー: ドリーム・シアターの公式サイトで告知を見たファンがバッキングボーカルとしてレコーディングに参加しました。

ビデオクリップと情報漏洩

「プロフェッツ・オブ・ウォー」のサウンドクリップビデオや、アルバムのスタジオ風景をフィーチャーしたプロモーションビデオが公開されました。また、「ザ・ダーク・エターナル・ナイト」のミックスされていないバージョンがYouTubeで公開されたり、アルバム全体がリリース前にリークされたりする出来事もありました。

「コンスタント・モーション」のプロモーションビデオ特別版や、「フォーセイクン」のミュージックビデオも公開されています。

ツアー

アルバムリリース後、ドリーム・シアターは「Chaos In Motion」と名付けられたワールドツアーを開始しました。このツアーでは、ヨーロッパ、北米、アジア、オーストラリア、南米など35か国を巡り、初のオーストラリア公演も実現しました。

ブラインド・ガーディアン、ディム・ボルギル、シンフォニー・エックスなどがオープニングアクトを務めました。

『システマティック・ケイオス』の魅力

『システマティック・ケイオス』は、ドリーム・シアターの音楽的な多様性と創造性が凝縮された作品です。プログレッシブ・メタルのファンはもちろん、幅広い音楽ファンにおすすめできるアルバムと言えるでしょう。

もう一度検索