シャトレ座

シャトレ座（Théâtre du Châtelet）は、パリ1区、セーヌ川の右岸に1862年から建つ歴史ある劇場です。オペラ、オペレッタ、バレエ、演劇、クラシックコンサート、そして映画上映など、多岐にわたるジャンルの公演が行われてきました。座席数は2,500席を誇り、パリの文化を象徴する重要な場所となっています。

歴史

シャトレ座は、パリの中心部、セーヌ川右岸の1区と4区の境界に位置するシャトレ広場にあります。この場所は、もともと9世紀末に堡塁（シャトレ）があった場所でした。1[[9世紀]]初頭に堡塁が取り壊され、ナポレオンのエジプト遠征を記念する噴水が建設されました。1858年には、ナポレオン3世の治世下で広場が拡張され、噴水もより高く改築されました。これらの改修は、当時のセーヌ県知事ジョルジュ・オスマンによるパリ改造計画の一環として行われました。

オスマンは広場の東西に2つの劇場を同時に建設しました。東側にリリック劇場（後のサラ・ベルナール座、現在の市立劇場）、西側にシャトレ座が建設されました。シャトレ座は1860年に着工し、1862年に完成しました。1862年4月19日の開場式には、ウジェニー皇后が出席し、当時は『帝室シャトレ劇場』と呼ばれていました。ちなみに、ガルニエ宮として知られるオペラ座は、1862年7月に着工し、1875年に開場しています。

開場初期には、大デュマの『二十年後』や『王妃マルゴ』、ゾラの『ジェルミナール』や『居酒屋』、ジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周』などが上演されました。1876年からは、エドゥアール・コロンヌが率いるコンセール・コロンヌ管弦楽団が本拠地を置き、チャイコフスキー、グリーグ、R.シュトラウス、ドビュッシーなどが自作を指揮しました。1900年には、マーラーがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を率いて自身の作品を披露しています。

シャトレ座では、オペレッタやバラエティショー、バレエ、そして1906年には映画も上映されました。1909年5月19日には、ディアギレフ率いるバレエ・リュスの公演が行われ、その数日後には、フョードル・シャリアピンがリムスキー＝コルサコフの『プスコフの娘』を『イワン雷帝』の題名で歌いました。バレエ・リュスは、その後も1929年まで様々な劇場で公演を続け、20世紀初頭の舞踊・音楽・美術の『饗宴』として大きな影響を与えました。シャトレ座では、1909年、1911年、1912年、1917年に公演が行われています。

1910年には、トスカニーニとメトロポリタン歌劇場が来演しました。1911年には、ダンヌンツィオが台本を書き、ドビュッシーが音楽を担当、バクストが美術を手掛けた『聖セバスティアンの殉教』が上演され、ニノン・ヴァランが歌い、イダ・ルビンシュタインが踊りました。その後、シャトレ座は豪華なオペレッタの上演に重点を置く時代もありました。

1979年には、市からの要請で改築工事が行われ、翌1980年にパリ音楽劇場（Théâtre Musical de Paris, TMP）と改名し、市の管理下に入りました。その後、1988年と1999年にも改装が行われ、1999年にシャトレ座の名前が復活しました。この劇場では、ダニエル・バレンボイム、ピエール・ブーレーズ、クリストフ・フォン・ドホナーニ、サイモン・ラトル、ジェフリー・テイトといった著名な指揮者が多数出演しています。

近年では、パリ管弦楽団とフランス放送フィルハーモニー管弦楽団が本拠地としており、1993年からは毎年研修期間にフィルハーモニア管弦楽団が訪れています。2007年7月以降、ジャン＝リュク・ショプランが総支配人を務めています。

シャトレ座は、その長い歴史の中で、数多くの芸術家や作品を世に送り出し、パリの文化に多大な貢献をしてきました。現在もその輝きは失われることなく、パリの重要な文化施設として存在し続けています。

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